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[介護×DX] 介護業界における海外のDX事例を紹介します
少子高齢化の影響で介護業界でも人手不足が問題視されています。そんな中、国内だけでなく海外でもDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、介護業界が抱える課題を解決する動きが増えています。今回は国外に視点を向けて、海外で行われている介護DXの事例をご紹介します。
介護業界におけるDXの取り組みとは
帳簿や引き継ぎペーパーレス化
日々のお金の流れを記帳する帳簿や引き継ぎの際に利用される日報などノートや紙媒体のファイルでつけている施設が現在も多くありますが、これらのアナログな情報共有ですと次第に紙の資料が肥大化してしまい保管場所に困ったり棚の整理時間がかかったりといった問題が発生します。
また古いものからシュレッダーにかけて捨ててしまう団体も多く、貴重な資料が失われてしまう恐れがあります。DXを進めるにあたってはまず紙に記載されたデータを整理し、手打ちでパソコンにファイル形式に変換するもしくはスキャナーや複合機で書類をスキャニングする必要があります。
これによってペーパーレス化が実現し10年、20年にわたって長期的にデータを管理することが可能になります。ペーパーレス化はただ無駄な資源を削減できるだけでなく、データ分析に役立てられるのも利点の一つ。施設利用者数や従業員の賃金、売上・利益の前年比などが可視化できるようになり運営や経営戦略、マネジメントに役立ちます。
最初からデータ分析を実現するのは困難ではありますが、ペーパーレス化(紙のデータ化)は長期的に運営を続けていく上で必要になってきますので徐々に進めていくと良いでしょう。
介護記録システムを用いて利用者情報を共有
介護記録システムとは利用者情報をパソコンで一括管理できるツールです。利用者の名前や介護度や誕生月、認定有効期間で絞り込み、持病やアレルギー、特性、薬の履歴を簡単に確認することが可能に。
またスマホやタブレットからも入力・確認ができる介護記録システムも近年では多く導入されています。膨大な紙のファイルの中から利用者を探し出す手間が大幅に削減され、外出中や介護の合間に手軽に記録できるため内容のクオリティと情報共有の精度が向上します。
またご家族も参加してバイタル、日々のケア記録を共有できるサービスも便利。介護記録が充実するのはもちろんご家族に安心感を与え、信頼関係が築けるといった効果にも期待できるのです。
システムの多くはExcel/CSVファイルで管理している利用者のデータをインポートすることが可能です。前述したようにペーパーレス化が進み紙のデータがファイル形式に整理できましたら導入を検討してみるのも良いでしょう。介護におけるDXの順序は紙の資料をデータに変換しその後システムへインポートといった流れが現実的だと言えるでしょう。
見守りシステムによる巡回業務の効率化
令和元年より厚生労働省は医療介護のデジタル化を促進する取り組みとして、ICT導入にかかる費用を一部補助を行うICT導入支援事業を実施。見守りロボットもICT補助金の対象であり巡回業務を効率化する便利なシステムです。
睡眠中の体動、心拍、呼吸の確認、不審行動や転倒の予測機能が備わっており万が一の転倒や起床時の血圧低下も素早くセンサーで知らせてくれます。
見守りシステムの導入によって一部屋ごとに巡査する時間と手間を削減することができスタッフの心理的負担も低減することが可能。カメラ映像やアラートをスマホやタブレットで確認できる見守りロボットも近年注目されています。
デメリットとして費用が高額であることがありますが、ICT補助金を活用することで導入費用を抑えることが可能です。一般的に補助率は導入経費の4分の3または2分の1、補助限度額は750万円までとされています。自治体によって補助率や補助限度額は異なりますので、導入前に必ず確認しておきましょう。
介護ロボットもICTの活用が可能な機器ではありますが、先進的な技術であるため機能を使いこなすのが難しく、一台あたりの費用が高額といったデメリットがあります。またロボットを設置するスペースも確保しなければならないため小規模施設では導入が進んでいない現状です。まずは小型で設置が簡単な見守りシステムを導入しDXを加速させましょう。
介護業界でDXを推進するメリット
介護業界でDXを推進する事によって得られるメリットは沢山あります。ここではそのメリットを一つ一つ見ていきましょう。
介護でDXを推進するメリット①効率よく業務が行える
介護業界でDXを推進できれば業務の効率化につながります。少子高齢化の影響により各業界で慢性的な働き手不足が起こっています。そこでこの問題を別の角度から解決しようというのが介護DX。テクノロジーを駆使する事で介護業界の働き手が少なくても、効率よく業務を回すことができます。
実際に介護ロボットを施設に導入したことで人手不足の解消はもちろん、スタッフ一人当たりの身体的負担を軽減できた事例もあります。このように介護DXは業界の人手不足の解消の点で、期待が高まっています。
また後述のBONXと呼ばれる、距離無制限での音声通信を可能にしたハードウェアを活用することで、施設内を走り回ったり大声を出すことなくスタッフの場所を把握することができます。このように介護DXを推進することで、慢性的な人手不足に悩まされる介護の現場においても効率よく日々の業務を行えるようになります。
介護でDXを推進するメリット②事務作業の負担軽減
DXによってスタッフの事務作業における負担を減らす事に繋がります。介護の現場では入浴・排泄の介助や着替えなどの業務の他に、勤怠管理やシフト・利用者カルテの作成といった事務作業があります。
DXの動きが浸透している中で、まだまだこれらの事務作業を紙やエクセルで済ませている所も少なくありません。こうした煩雑な作業をシステム化・自動化できるツールを使い、業務のペーパーレス化を加速させることができれば、スタッフの事務作業における負担を軽減できるでしょう。
介護でDXを推進するメリット③コロナ禍における利用者の安全確保を実現
介護DXは利用者の安全の確保にも一役買っています。昨今、新型コロナウィルス感染拡大防止に向けて、非接触での業務が各業界で推奨されています。
特に高齢の方々は若者と比べ症状が重症化しやすいと言われているため、介護施設には遠隔で利用者を管理できるデジタルツールの導入が必須です。
例えば後述する株式会社エイビスは遠隔で振動や圧力を計測するセンサーやカメラ、パソコンを搭載した「みまもりシステム」を開発し、非接触での利用者の安全確保に成功しています。このように介護DXでは時流に沿ったメリットもあるのです。
介護のDXの海外での事例
ではDXが進んでいる海外ではどのように介護でDXを取り入れているのでしょうか。ここでは、実際にDXを介護業界で推進した事例を見ていきたいと思います。
介護のDXの海外での事例①メルボルンの遠隔介護ネットワーク
メルボルンにあるAged Care GPは70の施設と22の開業医が所属する在宅介護サービスを支援する組織です。
Aged Care GPは2020年にパンデミックが起きたタイミングで素早く在宅介護施設の支援を実施。在宅介護事業者向けの遠隔診断サービスが2020年時点でメルボルン全体の20%の施設をカバーした遠隔診療の成功モデルです。
成功の理由としては在宅ボタン一つで導入できる限りなくシンプルなデザインというのが挙げられます。またすでに存在するテクノロジーを活用した技術を用いることでデジタル化へのネガティブなイメージを払拭できたこと、従来のソフトな技術を活用できるスタッフが揃っていたことも成功の要因だと言われています。
パンデミック以前から築き上げてきたパートナーシップもまた遠隔診断サービスの拡充に欠かせないポイントでした。
介護DXにおいて重要なのは突発的に新技術を取り入れることではなく既存システムを活用できているかを見直し、組織全体で基盤を構築していくことではないでしょうか。
Aged Care GPの具体的な取り組みについて書かれた記事はこちらです。
介護のDXの海外での事例②オーストラリア
広大な国土面積を要するオーストラリアは2020年のパンデミック以前から全土への医療介護の拡充を目的とした遠隔医療サービスに注目が集まっていました。
コロナ禍へ突入すると感染拡大を予防するためにシニア層向けに急速な広がりを見せ、20年10月時点で6割超が遠隔介護/遠隔医療を導入したと報告されています。
うち9割がビデオ診療システムの導入で、内容としては要介護者の定期的な状況確認やケアプランのスケジューリング、レビュー等が行われているようです。
こちらも前述のメルボルンの遠隔介護ネットワーク同様に使い馴染みのあるビデオシステムを使ったことが成功の要因となりました。日本の介護施設でも訪問介護・在宅介護が行われているものの、スタッフが現地へ出向くというスタイルがいまだ主流となっています。
これはオンライン上での介護サービスに対しての知識と認知度が不足しており、実現性に欠けていると考える事業者が多数いるからではないでしょうか。
また介護施設や家庭内でWi-Fiやインターネット環境の整備が進んでいないことも遠隔サービスが浸透しない理由の一つ。オーストラリアでは早期から従来のデジタル技術を施設へ一定の時間をかけて徐々に浸透させ、その後通信サービスを支えるインフラを整備することで介護DXを拡大させました。
遠隔介護を広めるためには使い慣れた動画システムを用いて使い方を根気強くレクチャーするなどしてまずは導入の敷居を下げる施策が求められているのです。
介護のDXの海外での事例③タイ・株式会社エイビス
大分県にある株式会社エイビスが振動や圧力を計測するセンサーやカメラ、パソコンを搭載した「みまもりシステム」を開発。
これによりベッド回りでのアクシデントを防ぐと同時に、利用者の体調の変化を見逃すことが少なくなりました。そしてこの技術をタイで活用するようになりました。2014年に高齢者の人口が15%を超えたタイでは実際にこのシステムにより患者の命が救われた事例があるなど、みまもりシステムは介護の現場で活躍しているのです。
介護のDXの海外での事例④スウェーデン
スウェーデンは福祉国家の一つとして有名です。スウェーデンでは2007年の時点で既に、患者カルテ処理システムや徘徊者発見用探索システムが一般に普及しており、いかに国全体で福祉に力を入れているかが分かります。また家庭用ゲーム機を使ってリハビリをしたりと、比較的新しい技術を積極的に取り入れている姿勢があると考えられます。
介護DXの課題
このように介護DXは海外でも普及し始めていますね。しかし介護DXはメリットばかりではありません。ここでは介護DXを進める上で知っておくべき課題についてお話しします。
介護DXの課題①コストが掛かる
介護業界だけでなく他の業種でも同じことが言えますが、DXにはもちろんコストがかかります。特に介護業界で使われる介護用ロボットや医療機器、事務作業改善のシステム・ツールの導入に伴う初期費用がその例です。それらの初期費用に加えて維持費や通信費、場合によっては機械が不具合を起こした時の修理費などもかかってきます。
介護DXから受けられる恩恵の裏には、こうしたコストがかかることも押さえておかないといけません。
介護DXの課題②機械への抵抗感
介護施設の利用者が持つ機械への抵抗感も、介護DXを進める上での課題の一つだと言えるでしょう。ある程度機能や特徴をイメージできる若者と異なり、一般的に高齢の方にはそれらをイメージできないことがほとんどです。
よくわからない機械を使って介護されることは、施設の利用者が不快感を抱く原因になっているのでしょう。このように機械への抵抗感もまた、介護DXを進める上で対処法を模索しなければいけない課題となっています。
BONX WORKについて
弊社のサービスである「BONX WORK」であれば、これまで介護業界が抱いていた課題を解決しつつ、DXを推進する事ができます。ここではBONX WORKについてご紹介していきたいと思います。
BONX WORKの特徴①身に付けやすく、スマートな見た目
弊社が提供しているハードウェアのBONX Grip/BONX mini/BONX BOOSTは非常にスマートな見た目です。そのため電子機器に抵抗がある利用者の方が、スタッフのBONXのイヤフォンを使っている姿を見ても抵抗がありません。
このように介護施設で使用する場合でも、業務に支障が出ないスマートなデザイン性は、BONXの特徴の一つとなっているのです。
BONX WORKの特徴②充実したコミュニケーションで業務効率がUP
BONX WORKは、チームでのコミュニケーションを手助けするサービスです。このBONXを通じたコミュニケーションによって施設内が見える化するので、人手不足に悩まされる介護業界でも効率的に日々の業務を遂行することが可能となっています。
実際にBONXをご活用いただいている社会福祉法人 寒川ホーム 吉祥会様は「BONXのおかけで伝達事項があるたび施設を走り回る必要がなくなった」と回答しています。このようにコミュニケーションが充実することによって、以前と比べ業務がしやすくなることがBONX WORKの特徴です。
BONX WORKの特徴③リーズナブルなプラン
これだけ機能がそろっていればコストがかかるのでは?と心配になりますよね。ですがBONX WORKは非常にリーズナブルな「エントリープラン」を1アカウントあたり月額500円で始める事ができます。端末とアプリケーションセットの場合も月額1,500円~と始めやすい価格となっています。
BONX WORKの特徴④補助金制度がある
それでもアカウントの数を揃えればかなりの金額になるのではと気になる方もいらっしゃるかと思いますが、実は東京にある介護施設であれば補助金制度があります。
そしてBONX WORKはその補助金制度の条件に該当する可能性があるため、より低いコストでBONX WORKを導入する事も夢ではないのです。
まとめ
今回は介護のDXを推進した海外の事例をご紹介しました。やはり日本よりDXを推進した事例が多く、また実際に現場でテクノロジーが活躍している事が分かります。
グローバル化が進む現代において見習うべき点であるといえるでしょう。また介護でDXを推進したいとお考えの方は、一度BONX WORKを検討してみてはいかがでしょうか。ここまで読んで頂きありがとうございました。