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介護インカム導入の教科書|選び方・費用・メリット・デメリットを全解説

介護インカム導入の教科書|選び方・費用・メリット・デメリットを全解説 イメージ

慢性的な人手不足が続く介護業界において、職員間の連携強化業務効率化は喫緊の課題です。その解決策として、多くの施設で導入が進んでいるのがインカム(トランシーバー)です。
しかし、「種類が多くて何を選べばいいかわからない」「新しいものに変更したいけどコストが心配」という声も多く聞かれます。

本記事では、2026年最新の介護業界向けインカム情報を網羅。専用端末型(トランシーバー・無線機・PHS)とスマホ連携型(アプリ)の徹底比較をはじめ、自施設に最適なインカムの選び方、導入コストを抑える補助金情報までを完全ガイドとしてまとめました。

この記事のポイント
  • インカム(専用端末型・スマホ連携型)を徹底比較
  • 施設の規模やシーンを交えてインカムの選び方を解説
  • インカム導入で活用できる「介護テクノロジー補助金」と対象となるインカムを紹介

介護施設にインカムが必要な理由

職員の負担軽減・利用者へのケア品質向上のため

介護現場では職員同士の迅速な連絡が求められますが、従来の呼び出しや口頭連絡では対応が遅れることがあります。
インカムを使うことで移動中や離れた場所でも即時に情報共有が可能です。結果として業務効率が上がり、職員の負担軽減や利用者のQOL向上につながります。
介護施設でインカムを使用することで次のような効果があります。

  • 「探す・歩く」時間の削減:広い施設内でスタッフを探し回る無駄がなくなる。
  • ハンズフリーで介助に集中:両手がふさがっていても音声だけで応援要請や報告が可能。
  • 緊急時の初動スピード:"1対全員"の一斉通信により、急変時や災害時の指示伝達が瞬時に完了します。

介護ICT機器としてインカムの導入支援が確立

2026年度(令和8年度)の介護報酬改定に向け、政府は介護施設における「生産性向上」と「テクノロジー活用」を強く推奨しています。
限られた人数で質の高いケアを提供する現場では、移動時間の長さや情報共有の遅れが大きな課題となっています。
こうした課題を解決する手段として、インカムは介護のICT機器として位置づけられ、導入施設は補助金や加算による評価の対象となったことも理由として挙げられます。

👉 【介護】3種のICT機器の活用で100単位の加算が算定可能

介護で使われているインカム(専用端末型・スマホ連携型)を徹底比較

現在、介護現場で使われている主なインカムの種類です。施設の通信手段として標準的に導入されてるPHSも含め、全5種を比較していきます。

項目特定小電力トランシーバーデジタル簡易無線IP無線機PHSスマホインカム
分類専用端末型専用端末型専用端末型専用端末型(電話)スマホ連携型(アプリ)
主な特徴通信距離が短いが安価広域で通信可・混信しにくい従来型インカムの形で距離制限なし使い慣れている人が多いスマホがあれば利用可
通信距離短い(100m〜500m)広い(1km〜5km)全国(スマホ回線)構内アンテナ範囲内全国(スマホ回線/Wi-Fi)
通話方式1対複数(交互)1対複数(交互)1対複数(同時可)1対1(電話)1対複数(同時可)
免許不要必要不要不要不要
機能拡張×(通話のみ)×(通話のみ)△(位置情報など)×(通話のみ)◎(記録・翻訳・連携)
導入コスト最安(端末代のみ)中(端末代+登録費)高(端末代)高(交換機・アンテナ)低(スマホ流用可)
メリット免許不要で即導入災害時に強い完全防水/頑丈、物理ボタン操作電話に特化、既存設備を利用身軽、システム連携、多機能利用可
デメリット壁や階層に弱い、混信のリスク専用端末を持ち運ぶ必要あり、申請が必要専用端末を持ち運ぶ必要あり、費用が高額一斉連絡不可、生産終了/入手難スマホ回線/Wi-Fi依存

【種類別】インカムのメリット・デメリット

専用端末型(特小・デジ簡・IP無線)| 災害には強いが、多機能化の壁に

<メリット>
災害時に強い通信手段:携帯回線に依存しない特定小電力無線・デジタル簡易無線は、災害時のバックアップ通信として高い信頼性があります。
操作がシンプル:ボタン操作中心で、ITに不慣れな職員でも直感的に使える点は現場向きです。
即時性の高い音声連絡:ワンタッチで複数人へ一斉通話が可能で、緊急時の初動対応に向いています。

<デメリット>
「2台持ち」による負担増:通話専用のため、記録用スマホやタブレットと併用が必要となり、職員の携行負担や端末管理コストが増加します。
コストと通信品質のジレンマ:安価なモデルは階層移動・別棟間で通信が不安定になりやすく、広域対応のIP無線機ではスマホ並みの月額費用が発生します。
拡張性の限界:見守りセンサー・カメラなどとの連携が困難で、情報を1箇所に集約できません。将来的なスマホ1台への業務集約を見据えると、機能拡張性が低い専用端末型は、長期的なDX推進のボトルネックとなる可能性があります。

専用端末型(PHS)|生産終了と「1対1」の限界に直面

<メリット>
操作がシンプルで教育コストが低い:電話と同じ操作感のため、ITに不慣れな職員でもすぐに使いこなせます。
ナースコールとの標準連携:多くの施設で既存システムと親和性が高く、確実に呼び出しを受け取れます。
特定相手との確実な通話:1対1での通話に特化しており、個別連絡には安定した運用が可能です。

<デメリット>
一斉連絡ができず情報共有に時間がかかる:インカムのような同報通話ができず、職員全体への迅速な共有が困難です。
ハンズフリー運用が難しい:ダイヤル操作が必要なため、介助中や緊急時の即応性に課題があります。
将来性・継続利用のリスクが高い:端末の生産終了、法人向けサービス縮小、スプリアス規格改正による停波リスクにより、故障時の代替ができない早急なリプレイス対象となっています。

👉 PHSが終了した今考えたいリスクへの備えと後継機選びのポイント

スマホ連携型(スマホインカム)|多機能・業務集約を叶えるが通信環境に依存

<メリット>
距離・拠点を問わない通信と業務集約:インターネット回線を活用し、施設内外・送迎車・別拠点ともリアルタイムで連携。通話・記録・通知をスマホ1台に集約できます。
高い拡張性と将来性:介護記録ソフト、見守りセンサー、ナースコール、カメラなどと連携しやすく、段階的なDX推進に適しています。
付加価値機能による業務効率化と人材支援:音声入力・自動テキスト化・多言語翻訳により、記録負担の軽減や新人・外国人スタッフの教育支援に貢献します。

<デメリット>
通信環境への依存:Wi-Fiやモバイル回線の品質に左右されるため、電波状況が不安定な環境では対策が必要です。
初期設定・運用ルール整備が必要:アプリ操作や通知設定など、導入初期には職員への説明・教育が求められます。
端末・セキュリティ管理の重要性:紛失・盗難対策やアカウント管理など、情報セキュリティ面のルール整備が不可欠です。

失敗しない介護インカムの選び方

施設規模や構造から選ぶ

ケースA:ワンフロアのみ・小規模デイサービス
推奨:特定小電力トランシーバー
理由:通信距離が短くても問題なく、月額コストがかからないため、最も安価に導入できます。

ケースB:多層階・複数サービス併設(特養・老健・送迎あり)
推奨:スマホインカム
理由:従来の無線機では届かない「階層をまたぐ連絡」や「送迎車との外線連絡」も、スマホ回線なら全国どこでも繋がります。入居・通所・送迎と多岐にわたる業務をスマホ1台に集約できるため、情報共有が劇的に効率化されます。

インカムを活用したいシーンから選ぶ

シーンA:訪問介護・送迎中も遠くの拠点と連絡したい
推奨:IP無線機 / スマホインカム
理由:モバイル回線を使用するため、距離を気にせず全国どこでも繋がります。送迎中の急変対応や、施設とのリアルタイムな連携を実現したいシーンに最適です。

シーンB:階層移動がなく、ランニングコストを抑えたい
推奨:特定小電力トランシーバー / デジタル簡易無線
理由:端末同士で直接通信するため月額料金がかかりません。ワンフロアや限られた範囲内での通信で、とにかく維持費を安く済ませたいシーンにおすすめです。

シーンC:職員が持ち歩くツールを1台に減らしたい
推奨:スマホインカム
理由:記録用スマホ、内線電話、インカムの機能を1台に集約できます。重い端末の2台持ちを解消し、業務効率を最大化させたいシーンに選ばれています。

ICT補助金が活用できる介護施設向けのインカム

補助金の対象となる可能性が高いのはスマホインカム

介護施設でのインカム導入には、国や自治体の介護テクノロジー導入支援事業の補助金が活用できるケースがあります。
ただし、すべてのインカムが対象となるわけではなく、厚生労働省が定める介護ICTの基準を満たす必要があります。補助金を活用した導入を検討される場合、下記の理由から従来型のインカムよりもスマホインカムの方が確実と言えます。

専用端末型
  • 介護業務のデータ化や連携に直接つながらない
  • 記録・クラウド連携・管理機能がない
  • 補助金が想定するICTの定義に該当しない
スマホ連携型(スマホインカム)
  • クラウドやアプリを利用したICTツールとして位置づけられ、補助金の目的(業務効率化・情報共有)に合致する
  • スマートフォンやネットワークを活用し、データ管理・設定・拡張が可能
  • ソフトウェアやクラウドサービスとセットで導入・申請できるため、制度要件を満たしやすい
  • 介護現場の移動・探し回り・申し送り負荷を軽減するなど、業務改善効果を説明しやすい

スマホインカムの導入は生産性向上推進体制加算を取得する近道

スマホインカムを導入するメリットは、一時的な補助金の活用にとどまりません。
スマホインカムは「職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器」に該当し、導入により加算の取得が見込めます。その結果、施設全体の収益改善に加え、職員の賃上げに充てる財源の確保が期待できます。
高価なナースコールや見守りセンサーの全面刷新と比較して、既存のスマートフォンを活用すれば導入費用を大幅に抑えられ、低コストでICT化の体制を整えることが可能です。

導入後は「職員を探す・歩く」といった無駄な動線がすぐに解消されるため、加算算定に不可欠な「業務効率化の実績」が目に見える形で現れやすいという特徴があります。
さらに、介護記録アプリや見守りシステムと連携すれば、最上位区分である加算Iの要件(見守りセンサー、介護記録ソフト、インカムを全て活用)も効率的にクリアでき、生産性向上の最短ルートとなります。

👉 生産性向上推進体制加算の取得に必要な準備や申請のポイントを解説

介護施設におけるインカムとナースコールの連携

介護施設でナースコールとインカムを連携させるには、スマートフォンをベースとした「スマホアプリ型インカム」の導入が不可欠です。
従来のインカムやPHSでは、呼び出しがあった際に「誰が対応するか」の調整を別途行う必要がありましたが、スマホインカムを活用することで以下のような高度な連携が可能になります。

連携の仕組みと業務フロー

  1. リアルタイム通知:ナースコールや見守りセンサーの呼び出し信号をアプリがキャッチし、職員全員の耳元へ「音声」で、スマホ画面に「部屋番号」を同時に通知します。
  2. 即座の優先順位判断:介助中で手が離せない場面でも、音声通知により「緊急度」を即座に把握。わざわざナースコールの親機まで戻る必要がありません。
  3. 同時通話で対応分担:通知を受けた直後、インカムで「私が向かいます」「別の対応をお願いします」と全員に共有。対応の重複や、誰も向かっていないという「呼び出し放置」を防ぎます。
  4. 直接応答(ハンズフリー通話):システム構成によっては、スマホから直接利用者のナースコールに応答し、状況を確認することも可能です。

なぜスマホ連携型(スマホインカム)が良いのか?

情報の「見える化」と「聞こえる化」の両立

音声だけでなく画面にテキスト情報を残せるため、聞き逃しを防ぎ、正確な情報共有が可能になります。

PHSの代替として1台に集約

これまで「ナースコール受信用PHS」「記録用スマホ」「連絡用インカム」の3台を持ち歩いていた環境を、スマホ1台に集約できます。
データログの活用:「いつ、誰が、どの呼び出しに対応したか」という履歴をデータとして蓄積できるため、スタッフの配置最適化や、事故防止の振り返りにも役立てることができます。

👉 ナースコールは「スマホ連携」へ。PHSからの脱却で変わる介護現場の景色

介護インカム最大のデメリット「耳が痛い」を解決する救世主:骨伝導タイプ

BONX WORK限定モデルのShokz社製 骨伝導ヘッドセット

介護現場でインカムを導入する際、スタッフから最も多く上がる不満が「長時間の装着で耳が痛くなる」「耳の穴が蒸れて不快」という声です。
このインカム特有のデメリットを根本から解消する選択肢として、いま「骨伝導タイプ」が注目されています。

骨伝導インカムが現場のストレスをなくす3つの理由

「耳が痛い」からの解放(快適性)

耳の穴を塞がず、こめかみ付近の骨を振動させて音を伝えるため、従来のイヤホンで起こりがちな耳の痛みや圧迫感がありません。長時間勤務や夜勤でも、ストレスフリーな装着感を実現します。

周囲の音と通信を両立(安全性)

耳を塞がない構造のため、インカムの音声を聞きながら、入居者の呼びかけや周囲の生活音を同時に認識できます。介護現場において、インカムに集中しすぎて周囲の異変に気づけないというリスクを回避できます。

共有端末でも衛生的(清潔さ)

耳の穴に直接入れないため、スタッフ間で機器を使い回す際の心理的抵抗が少なく、清掃や消毒も容易です。外耳炎などの耳のトラブル予防にも繋がり、衛生面でも安心して運用できます。

スマホインカムなら「完全ワイヤレス」でさらに快適

骨伝導ヘッドセットは、スマホアプリ型インカムと組み合わせることで真価を発揮します。Bluetoothによる完全ワイヤレス接続が可能なため、介助の邪魔になるコードもありません。
例えば、スマホインカムの「BONX WORK」であれば、Shokz社と共同開発した専用モデルにも対応しており、現場の声を反映した「押しやすい通話ボタン」などでさらに利便性が高まります。

骨伝導ヘッドセット「OpenComm2 PTT」の詳細はBONX公式リリースにてご確認ください。
👉 BONXよりShokz社製の骨伝導ヘッドセット「OpenComm2 PTT」を9月16日発売

介護施設への導入にかかるインカムの費用

通信ツールの種類端末価格(目安)運用コスト(目安)補助額(上限)
特定小電力トランシーバー約5,000~30,000円有線コードの断線/電池交換、故障/不具合による定期的な買い替え有-
デジタル簡易無線約30,000~80,000円年1回の電波利用料(約500円/台)+5年ごとの免許更新費用、バッテリー交換費-
IP無線機約50,000~100,000円月額通信料(SIM契約やサーバー利用料)、バッテリー交換費-
PHS既存・入手困難サービス終了・縮小に伴う維持リスクとコスト-
インカムアプリ(BONX WORK等)0円~(既存スマホ+イヤホン流用時)月額500円~2,000円程度事業所規模に応じて100万〜260万円上限、見守り機器とセットで導入する場合、最大750万円まで補助が拡大※ネットワーク構築費や研修費も含む

介護施設のインカム導入における費用は、目に見える初期費用や月額料金だけでなく、安定運用のための周辺設備やメンテナンスといった「隠れた経費」まで考慮することが、長期的な運用を成功させる鍵となります。

専用端末型のインカムの場合、耐久性やバッテリーの劣化による買い替え頻度などを購入時に調査しておくことをおすすめします。また、スマホインカムは補助金を活用することで導入費用を抑えられるだけでなく、Wi-Fi整備やスマートフォンの配備費も節約できる可能性が高いという点も押さえておきましょう。

インカムの価格比較は下記のページでも紹介しています。
👉 介護施設のインカム導入費用を最小限に抑える方法

介護インカムの導入事例|スマホインカム「BONX WORK」

実際にスマホインカム「BONX WORK」を導入した施設の事例をご紹介します。

事例①: 社会福祉法人 洛和福祉会様 特別養護老人ホーム

社会福祉法人 洛和福祉会様BONX WORKご利用シーン
課題

以前使っていた見守りシステムはiPadやスマートフォンでアプリを開いてる時しか通知されなかった。

効果

BONX WORKとナースコールを連携させたことで、スマートフォンを閉じていても直接耳に「3035室で起き上がり検知です」といった情報が通知されるようになった。情報のタイムラグが解消され、初動対応が早まることで安全性が向上した。

事例②: 社会福祉法人まごころ様 特別養護老人ホーム/ショートステイ/小規模多機能型居宅介護

社会福祉法人まごころ様BONX WORKご利用シーン
課題

訪問・送迎中のヘルパーと事務スタッフ間の連絡は、スマホ電話では着信に気付かないことがあり、固定電話は外部対応の妨げになってしまう。

効果

訪問・送迎中も距離を気にせず事務スタッフと連絡を取り合えるようになった。例:「次の〇〇さんの宿泊は何時ごろですか」といった確認に対し「明後日に変わったのでご家族にひと言お伝えください」など

👉 BONX WORKを使った介護の事例をもっと見る

自施設に最適なインカム選びの最終チェック

施設の規模や階層に合わせて、コスパ重視の「特定小電力」か、距離無制限の「スマホ連携型(スマホインカム)」か、現場に最適なタイプを自由に選ぶことができます。
導入時は目先の価格だけでなく、月額費用やWi-Fi整備、故障時の保守管理、補助金まで含めたトータルコストで比較検討するのが失敗しないポイントです。
自施設の未来像に合った「最適なインカム」をぜひ検討してみてください。

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