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生産性向上推進体制加算の取得に必要な準備や申請のポイントを解説

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生産性向上委員会の導入に伴う生産性向上推進体制加算が新設されたことで、加算取得を予定して準備を始める介護事業所が急増しています。
加算を取得するためにはいくつか条件があり、計画的なICT機器の導入とデータ制作を要します。 早期に加算の全容を把握し、長期スパンで計画を練っておきましょう。 生産性向上推進体制加算に必要な準備や使用するデータ、注意点などをまとめました。すでに加算の申請が可能なケースや上位区分の取得を検討されている方もご覧ください。

生産性向上推進体制加算とは

見守り機器とスマートフォン

生産性向上推進体制加算とは、生産性向上ガイドラインに基づく委員会運営の一環にICTの活用を取り入れて改善活動を行っている介護サービスを評価するために、令和6年介護報酬改定(介護保険制度改正)で新設された加算です。

以下、厚労省の告示文

介護ロボットやICT等の導入後の継続的なテクノロジー活用を支援するため、見守り機器等のテクノロジーを導入し、生産性向上ガイドラインに基づいた業務改善を継続的に行うとともに、効果に関するデータ提出を行うこと を評価する新たな加算を設ける。

具体的にはテクノロジーの力で「利用者の安全確保」「介護サービスの質の確保」「職員の負担軽減」を推進する事業所を増やし、業界全体のデジタル化を進めること目的としています。
区分は2種類あり、条件を満たすことでいずれか1つの加算を申請できます。

  • 生産性向上推進体制加算Ⅰ(100単位/月)
  • 生産性向上推進体制加算Ⅱ(10単位/月)

加算の取得にあたっては対象となるICT機器を導入し、委員会の議事録と必要書類を1年以内に1回、厚労省に提出する必要があります。

対象の介護サービスは、短期入所系、居住系、多機能系、施設系サービスの4種。ショートステイ、特養、老健、有料老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、小規模多機能型居宅介護などが挙げられます。なお、訪問/通所系サービスは含まれません。

令和6年度介護報酬改定の主な事項について

生産性向上推進体制加算は介護現場のデジタル化を支援する政策

介護業界は生産年齢人口の減少が加速する一方で介護人口は増加の一途を辿っており、人材の確保が喫緊の課題とされています。打開策として国は補助金を交付するなどICTの活用を後押ししてきましたが、介護業界全体にデジタル化が十分に浸透していないことが問題視されていました。

それらの緊急措置として発足したのが各事業所主体で環境改善と働き方改革を実施する委員会(生産性向上委員会)の設置義務です。委員会でICT利活用の推進に積極的に取り組む事業所を評価するために新たに設けられたのが生産性向上推進体制加算となります。

生産性向上委員会は生産性向上推進体制加算を受け取るために必要

介護 生産性向上委員会 イメージ

生産性向上委員会の主な活動内容は、各事業所内の職員全体で現場課題の抽出 > 見える化 > PDCAサイクルを1年を通して実施することです。課題に有効な改善策は、整理整頓や帳票の見直しなど事業所ごとに方針や規模が異なりますが、加算を取得するにはICT機器等のテクノロジーの導入や既存システムの活用が前提条件となります。

また委員会では1年に1回、活動の実態を証明するデータの提出が求められます。厚労省が提供しているツールを使って適切な手順で実施する必要があるため、データを後から作成することは困難です。そのため、委員会活動を実施していなくてはICTの導入による改善の効果が分かるデータが提出できないというのも委員会の設置が欠かせない理由です。

生産性向上委員会は2024年から導入され、本格実施には3年の猶予が設けられています。しかし、委員会の設置に先駆けてICTを導入してしまうと、算定に必要なデータを取りこぼしてしまうことが考えられます。また委員会の発足当初は小さな課題から解決していき、徐々にICT活用の裾野を広げていくのが一般的な流れとなります。早期の加算取得を目指す場合はできるだけ早めに委員会を立ち上げ、ICT機器を導入できる状態まで環境を整えておくことが重要です。委員会の目的や設置方法・活動内容については以下の記事をご参照ください。

介護の生産性向上委員会とは何か、目的・設置方法・活動内容を解説

最大の加算を受け取るには3種のICT機器を導入する必要があります

介護 ICT イメージ

生産性向上推進体制加算にはⅠ・Ⅱの2種類がありそれぞれ条件を満たすことでひと月あたり10単位もしくは100単位の算定が可能です。またどのような介護システムでも算定が認められるという訳ではなく、加算Ⅰ・Ⅱで介護システムの種類や数、組み合わせ、設置条件が定められています。加算Ⅰ・Ⅱで共通して対象となる機器は次の3種です。

見守り機器・・・利用者のベットからの行動を感知し、職員に通報できるもの
インカム・・・職員間の連絡調整の迅速化に有効なICT機器
介護記録ソフトウェアやスマートフォン等・・・介護記録の作成の効率化に有効なICT機器 ※データの入力から 記録・保存・活用までを一元化できるもの

上記システムは“三種の神器”に例えられ、厚労省より生産性向上に有効なツールとして指定されています。

【介護】3種のICT機器の活用で100単位の加算が算定可能

まずは実施することが条件の生産性向上推進体制加算Ⅱ(10単位)

介護 見守り機器 イメージ
  • 委員会を開催
  • 必要な安全対策を講じる
  • 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入
  • 生産性向上ガイドライ ンの内容に基づいた業務改善を継続的に行う
  • 事業年度毎に1回、実績データの提出

厚労省が推進する委員会活動の進め方(生産性向上ガイドライン)に従って上述した3種のICT機器(見守り機器・インカム・介護記録ソフトウェア等)を1つ以上導入し、環境改善に取り組むことが主な要件です。
また、導入したての頃は慣れないシステムの運用で逆に業務効率が落ちてしまったりケアの質が下がってしまう恐れがあります。このような事態を回避するために、厚労省は委員会にて職員の負担軽減・利用者の安全確保の策を検討した上で導入するよう説明しています。そして事業所年度毎に1回、委員会活動の活動実績が確認できるデータを厚労省に報告することで月10単位が算定されます。
なお加算Ⅱでは適切な手順で委員会活動を行っていれば、提出したデータから成果が確認できなくても良しとのことです。

成果が求められるのが生産性向上推進体制加算Ⅰ(100単位)

介護施設の利用者と職員 イメージ
  • 上記の加算Ⅱの要件を満す
  • 実績データから成果が確認できる
  • 見守り3機器等のICTを複数導入
  • 職員間の適切な役割分担

加算1では加算2の要件を全て満たした上で、以下3つが必要です。

数値的な成果と利用者・職員の満足度向上

提出データから数値的な改善が見られること、利用者へのアンケートの結果、導入前をキープしているか良い方向に変わっていることを証明する必要があります。

三種の神器を全て導入

ALSOK介護グループホームステーションらいふ羽田大鳥居様 女性職員 イメージ
ALSOK介護グループ ホームステーションらいふ羽田大鳥居様

加算Ⅰでは厚労省が導入を推進する3種のICT機器を全て使用している場合に認められます。(=見守り機器+インカム+介護記録ソフトウェア・スマートフォン等)
また、設置条件においても見守り機器を全ての居室に設置すること・インカムは同じ時間帯に勤務する職員が全員使用することを定めています。

職員が働きやすい仕組みづくり

女性介護職員 イメージ

「業務内容の明確化や見直し」と「職員間の適切な役割分担」が求められます。例えば介護助手の活用や利用者のケアを行わない職員に片付けやベッドメイクなどのサポートを依頼するなど、職員がより働きやすくなる工夫が必要です。データの調査結果に大きく反映されるポイントとなります。

生産性向上推進体制加算の取得に必要な調査と申請方法

生産性向上委員会の運用イメージ

加算の申請にあたって調査が必要なデータは次の5つです。事業年度毎に厚労省への提出が必要な届出についても併せてご確認ください。

加算Ⅱは1〜3、加算Iは全て調査が必要

1.利用者の満足度等の評価(5名程)
利用者向け調査票(WHO-5調査※1・生活・認知機能尺度の確認)

2.総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の調査
施設向け調査票

3.年次有給休暇の取得状況の調査
施設向け調査票

4.介護職員の心理的負担等の評価
職員向け調査票

5.機器の導入等による業務時間の調査
職員向けタイムスタディ調査票(SRS-18調査※2・モチベーションの変化に係る調査)

加算Ⅱ(10単位)を申請する場合、2・3はICTを導入したフロアに勤務する職員が調査の対象です。加算Ⅰ(100単位)では職員全員に対して2〜4の調査を実施するよう求められています。

調査期間は直近の1年間・直近の同期間・システム導入前と導入後の期間の比較から選んで実施します。詳しくは下記のページをご参照ください。

6 生産性向上の取組に関する実績データの厚生労働省への報告について p. 7

※1 WHO-5調査 日常生活における気分状態を5つの質問で対象者本人に回答してもらう調査 ※2 SRS-18調査 心理的ストレス反応測定尺度を18の質問で職員に回答してもらう調査

いずれの加算にも共通して提出が必要なデータ

多様なグラフを用いたデータ調査 イメージ

申告にあたっては「生産性向上推進体制加算に関する取組の実績報告書」に記入し、厚労省へはオンラインでの提出が可能となる予定です。※電子申請・届出システムを想定
また、委員会での活動内容が確認できる議事録(分析ツールやシート等)の提出も必要です。厚労省が提供している分析ツール等についてはこちらの記事にてご紹介しています。そのほか、厚労省のアンケート調査などに積極的に協力するよう説明しています。

加算Ⅰ(100単位)で提出が必要なデータ

加算Ⅰでは上記に加えて「生産性向上推進体制加算に係る届出書」の提出時に「生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の算定に関する取組の成果」の添付が求められます。

加算Ⅱはクリアしているので加算Ⅰへ切り替えたい場合

通常、加算Ⅱで成果確認後に加算Ⅰへ切り替え可能となるため、成果が確認できるデータの提出が必要です。具体的には新規システムを3ヶ月間運用し、利用者満足度と勤務環境改善の調査(職員の業務時間や有給に関して)を実施します。その結果、導入前の状況と比べて良い方向に改善していること・利用者の満足度に変化がないことが条件です。

加算Ⅰの条件は満たしているのに事前データがない場合

利用者満足度と職員の勤務環境改善が導入開始前と比べて改善されていることが証明できる場合に、初めから算定が可能です。過去のシフトなどを確認すれば、データの取得は困難ではありませんが、利用者満足度の調査については委員会で進め方を検討しましょう。

生産性向上推進加算申請の注意点

説明を行う福祉系職員 イメージ

加算Ⅰと加算Ⅱを同時に算定することはできない

申請のタイミングは事業年度毎に1回、加算Ⅰまたは加算Ⅱのいずれかを申請可能です。重複して算定はできませんので注意しましょう。

調査にあたっては利用者や家族の同意を得る

加算を算定するにあたって利用者への満足度調査が必要になります。事業者の判断で導入前からサービスを利用している利用者を5名ほど選定し、同一人物であることが条件です。対象となる利用者には、居室に見守り機器等を設置すること、アンケート調査などを行う機会があることなどを本人と家族に説明し、同意を得るよう喚起されています。

生産性向上推進加算の要点まとめ

介護サービス利用者と介護職員 イメージ

生産性向上推進体制加算にはICT機器を導入する前のデータを記録しておくことが重要です。それらのデータを正しく測定するためには委員会の設置が欠かせません。
また新規システムであれば何を導入しても良いというわけではなく、見守り機器・インカム・介護記録ソフトウェア等が対象の介護機器となり、最終的にはそれらの3点をセットで使用することで最大の加算が目指せます。

データの作成は厚労省指定のシートを用いて行い、事業年度毎に1回申請が可能。申請を行うことでひと月あたり10単位(加算Ⅱ)または100単位(加算Ⅰ)が算定されます。
加算Ⅱの成果が確認できた後に加算Ⅰへステップアップする形で取得できますが、条件をすでにクリアしていて利用者満足度に変化がないこと、業務時間・有給に改善がみられるデータが揃っていれば初めから加算Ⅰの申請も可能です。

新加算対象のICT機器 スマホインカム BONX WORK

あきた創生マネジメント様 男性職員
あきた創生マネジメント様

BONX WORKは情報共有の迅速化を実現する現場コミュニケーションのワンストップソリューションです。従来のインカムとは異なり、スマートフォンとBluetoothイヤフォンを組み合わせることで距離に制限なくどれだけ離れている相手ともリアルタイムの会話を実現します。

BONX WORKは生産性向上推進体制加算の対象となるICT機器の1種でインカムに区分されます。コミュニケーションの活性化だけでなく、システム連携によって見守り機器のナースコール、介護記録ソフトウェア等のテキスト情報を直接耳へ届けることを可能とします。スマートフォンを開いてメッセージや通知を確認する手間が省け、現場のさらなる生産性向上を支援します。
上位加算の申請に向けてインカムを検討されている方は下記ページより介護専用資料をダウンロードいただき、委員会にて導入をご検討ください。

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