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介護インカムの5つのデメリット|現場スタッフが感じる悩みとリスク

介護施設における情報共有ツールとして、インカム(トランシーバー)は広く普及しています。広い特養や老健、複数フロアにまたがる施設では、スタッフ間の連携に欠かせないアイテムです。
しかし、「導入してみたものの、意外と使いづらい」「現場から不満の声が上がっている」というケースも少なくありません。 近年、人手不足解消のためにICT導入が進む中で、従来のインカムが逆に業務の足かせになってしまっているという皮肉な状況も生まれています。
この記事では、介護現場でリアルに発生しているインカム導入のデメリットと課題を5つのポイントに絞って徹底解説します。
介護インカムの総まとめ記事
失敗しないインカム選びのポイントや、さらに詳しい比較情報は、こちらの記事で網羅しています。
【2026年最新】介護インカムのメリット・デメリット|種類・費用・補助金まで徹底解説
そもそも「従来のインカム」とは?
この記事で触れる「従来のインカム」とは、主に以下のような専用の無線専用端末を指します。
- 特定小電力トランシーバー: 免許不要で安価だが、通信距離が短い。
- 簡易業務用無線機(デジ簡): 通信距離は長いが、端末が高価で免許・登録が必要。
これらは黒く無骨なデザインで、長いアンテナがついているのが特徴です。長らく介護現場で主流でしたが、あくまで「無線通信」に特化した機器であるため、柔軟性に欠ける面があります。
介護施設におけるインカム導入の5つのデメリット
- 導入・維持コストが高い
- 「耳が痛い」「重い」などの身体的負担
- 衛生管理と共有のリスク
- 充電・保管などの管理業務の負担
- コミュニケーションの質の低下とストレス
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 導入・維持コストが高い
インカム導入で最初に直面するのがコストの壁です。
初期費用:業務用インカムは1台あたり数万円〜高いものでは10万円近くする場合もあります。全スタッフ分を揃えようとすると、数十万円〜数百万円の投資になります。
維持費用:故障時の修理代、バッテリーの買い替え費用(2〜3年ごと)なども発生します。
周辺機器:有線イヤフォンや電池は消耗品であり、日常的に買い替えが必要です。
2. 「耳が痛い」「重い」などの身体的負担
現場のスタッフから最も多く挙がる不満が「身体への負担」です。
耳の痛み:硬いイヤフォンを長時間装着し続けることで、耳が痛くなったり、外耳炎になったりするトラブルが後を絶ちません。
頭痛・肩こり:常に耳が塞がれている圧迫感や、聞き取ろうと神経を使うことによる疲れから、頭痛や肩こりを訴えるスタッフもいます。
コードによるストレス:本体とイヤフォンを繋ぐ長いコードが介助中に利用者様に当たったり、引っ張られたりするため、取り回しに神経を使う必要があります。
3. 衛生管理と共有のリスク
多くの施設では、コスト削減のためにインカムを「使い回し」にしています。しかし、これは衛生管理の観点からデメリットがあります。
感染リスク:共用のイヤーピースを耳に入れることに抵抗があるスタッフは多いです。
消毒の手間:シフト交代のたびにアルコール消毒をする必要があり、その作業自体が業務負担になります。
4. 充電・保管などの管理業務の負担
インカムは毎日充電が必要です。
充電管理:「朝来たときに充電が切れていた」というトラブルは日常茶飯事です。24時間稼働の施設では、いつ誰が充電するのかという管理も複雑になります。
電池交換:電池式インカムでは、毎月電池を購入する必要があり、不足している場合には休憩中に急いで購入するケースもあります。
保管場所:台数分のかさばる充電器を設置するスペースが必要です。
5. コミュニケーションの質の低下とストレス
意外に見落とされがちなのが、「コミュニケーションの質」への影響です。
誰に話しているかわからない:従来のインカムは全員に一斉送信されるため、「〇〇さん、お願いします」と言っても、誰かが反応するまで全員の作業が止まってしまいます。
ノイズと混信:ザーザーという雑音や、混信による聞き取りづらさは大きなストレスです。重要な指示が聞き取れず、介護事故に繋がるリスクさえあります。
同時に話せない:インカムは交互通話のため1人が話し終わるまで待つ必要があります。例え誤った情報を話していても指摘できません。万が一声が重なった場合、一時的に通信が遮断されることがあります。
リーダーへの負担集中:何かあるたびに全員に聞こえる状態でリーダーへ報告が行くため、リーダーは常に指示出しに追われ、自分の業務が進まないという「リーダー負担増」の現象が起きます。
介護でインカムを検討する際には、デメリットを理解して最適なツール選びを
介護現場において、インカムは強力な武器になりますが、選び方を間違えるとスタッフの負担になりかねません。 「コスト」「身体的負担」「使い勝手」のそれぞれのデメリットをしっかり理解した上で、自施設の課題を解決できるツールを選ぶことが重要です。