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【介護】3種のICT機器の活用で100単位の加算が算定可能

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ICT機器の活用で取得できる加算の新設によって、介護現場のデジタル化に対する意識が高まっています。かねてよりICT化を推進している事業所は、最初から大きな加算を取得できる可能性がありますが、一から取得を目指して準備を始めるところもあるでしょう。

いずれにせよ、将来的に新規のICT機器を導入するのであれば、加算の対象となるシステムを検討しているはずです。補助金申請のタイミングやシステム同士の相性、相乗効果も加味して、事業所ごとに最適な導入プランを立ててみてはいかがでしょうか。
ここでは、加算を取得するために導入すべきICT機器の種類や申請の際に注視されるポイント、ステージごとに得られる加算の内容について詳しくご紹介します。

令和6年度介護報酬改定における改定事項について p. 112~ 生産性向上推進体制加算に関する基本的考え方 並びに事務処理手順及び様式例等の提示について

令和6年度の介護報酬改定でICTの利活用で得られる加算が新設

生産性向上に関する講習会 イメージ

令和6年介護報酬改定(介護保険制度改正)でICT機器の利活用による加算が新設されました。これまでも強く推してはいたものの、業界全体に浸透しきっていない介護現場のICT化が加算の設置により加速していくのではないかと予測されます。
テクノロジーを活用した環境改善に積極的な事業所にとってはメリットが多い反面、消極的な事業所においては将来的に事業の継続が危ぶまれ、倒産に追い込まれるケースも出てくるのではないかと危惧されています。

ICT機器の導入は一朝一夕に実現できるわけではなく、入念な準備と長期間の継続が必要です。また膨大なコストもかかるため、システムの導入に付随する環境整備や講習、利用端末にも補助金を適用させるなどして初期投資を抑えることが重要です。

厚労省は介護ロボット導入支援事業・ICT導入支援事業の対象となるICT機器を3種に分類し、全てを導入する事業所を大きく評価する体制を固めました。この取り組みの一つが注目の新加算「生産性向上推進体制加算」になります。
補助金の支給により導入コストが抑えられ、加算の付与でICT機器を導入するメリットも多くなったわけですが、加算の申請には委員会の設置ならびに提出データの作成など、一筋縄ではいかないのが実情です。

ICT機器の導入で加算を取得するには委員会の設置が必要

介護 生産性向上委員会 イメージ

令和6年介護報酬改定の大目玉の一つである「生産性向上委員会の設置」がICT器機の導入による加算取得の前提条件です。委員会は事業所主体で現場の環境改善を行うチームを指し、加算の申請に必要な提出データを記録するために継続して運営が必要になります。委員会を設置する目的は職員の負担軽減と利用者の安全確保・サービス向上です。

委員会の取り組みの中で、厚労省が指定するICT機器の中からどのシステムを導入し、どのように改善していくのか、導入後の効果はどうだったかを記録し、活動の実態を証明するデータを提出することが算定に欠かせません。

介護の生産性向上委員会とは何か、目的・設置方法・活動内容を解説

委員会が未設置の場合、加算を取得する以前に減算の恐れがある

委員会の運営にはマニュアル(生産性向上ガイドライン)が設けられており、指定されたフェーズに沿って活動を行うことが肝心です。なお、委員会の設置義務は2024年に導入され、3年後の2027年には本格実施となります。加算の取得はさておき、実施していない場合は次回の改定で減算の可能性も否定できないため迅速な対応が必要です。
委員会での取り組みについてはこちらの記事をご確認ください。

介護の生産性向上ガイドラインに基づく委員会運営のポイントを解説

前倒しで委員会の設置を行った場合の加算取得にかかる期間と条件

生産性向上委員会 付箋に方針を書き出す

事業所ごとに加算を取得できるまでの期間は異なります。2027年の本格導入までに委員会の設置を行った事業所で、デジタル化の前に改善すべき課題が多い場合は当然そちらを優先すべきです。
1つの課題に対するPDCAは3ヶ月が一巡となり、改善されなければ6ヶ月~9ヶ月~と長引く可能性も。サイクルにかかる期間を考慮すると、加算の前に現場環境を整える期間が1年以上かかるのではないかと想定されます。

なお、以前から生産性向上委員会のような組織が形成されていて、デジタル化を推進している現場では委員会の立ち上げからすぐに加算の申請を開始できることが考えられます。さらに上の加算を目指す場合は1年目に新規システムを検討、翌年に導入、成果が出るのは早くて半月後か1年後といった見積りが現実的ではないでしょうか。

介護報酬改定で加算の対象となったICT機器

スマホでケア記録を行う介護職員

厚労省は生産性向上を支援するICTツールを次の3種に分類し、導入している事業所を評価する方針です。

  1. 見守り機器
  2. インカム
  3. 介護ソフトウェア

それぞれ「利用者の安全確保」・「情報共有の迅速化」・「職員の負担軽減」という視点でみると分かりやすいかもしれません。年々担い手が減りニーズが増大する介護現場を人の手に変わって支える3種の神器となっています。

見守り機器

起き上がり介助する女性介護スタッフ イメージ

利用者がベッドから離れようとしている状態または離れたことを感知して職員に通報する見守り機器が対象です。見守り機器は4種に分類されます。

センサーマット
マットに利用者が乗ったと時の重荷に反応して通報

シートセンサー
ベッドから起き上がったり離床したりした時に通報

超音波・赤外線センサー
ベッドから立ち上がった時の足元の動きを感知して通報

センサーベッド
バイタルサインがなくなった時にベットから離れたと判断し通報

インカム

あきた創生マネジメント様 男性職員
あきた創生マネジメント様

インカムとはマイクロホンを搭載したイヤフォンのことです。またビジネス用のチャットツールを活用した通信ツールも認められます。職員間の連絡を迅速化できるかが判断の基準となります。

インカム
複数人で同時に話せる・ヘッドセットとマイクが一体型になっているタイプはハンズフリーで話せる
※トランシーバー・無線機と同等に扱われることがあります

トランシーバー・無線機
1人が話している時は話せない・本体またはコードに付属したボタンを押している間のみ相手に伝達が可能

スマホインカム
複数人で同時に話せて距離無制限で会話ができる・必要なものはスマホ、Bluetoothイヤフォン、インターネット環境(Wi-Fi)・ナースコールや介護ソフトとの連携を可能としICTツールとの相性が良い

介護ソフトウェア(スマートフォン等)

介護情報を一元管理 イメージ

データの入力から記録・保存・活用まで一元的に管理できるものが対象となります。日々の業務や国保連請求業務の転記が不要であることが条件です。

介護ソフトウェア
膨大なデータの入力処理を軽減し、転記を不要とするためにLIFEとの連携やケアプランデータに対応しているものが望ましい・ソフトをスマホ・タブレットで使用する場合はインターネット/Wi-Fiの構築が必須

スマートフォン
全てのエビデンスが残せて転記不要であるICTツールやクラウド型介護ソフトをセットで導入する必要がある

介護ソフトを 選定・導入する際のポイント集

​ケアプランデータ連携を 円滑に行うための 業務改善のポイント集

上位加算を目指すには3種のICT機器を全て導入

ict導入セミナー イメージ

令和6年の介護報酬でより大きな加算を申請するためには上述した3種のICT機器を全て導入し、事業年度毎に委員会での取り組みの成果を証明するデータを提出しましょう。また加算だけでなく、同等の条件を満たせば人員配置基準緩和の特例が適用される事業所もあります。

下記の加算と特例は共通して見守り機器を全ての居室に設置し、インカムは同じ時間帯に働く全職員が使用することが条件となります。
また「サービスの質が落ちないこと」「従業員の負担が増えないこと(軽減されること)」が注視されるポイントです。ここをクリアするために3ヶ月に1回委員会を開催し、継続的に安全対策と職員の負担軽減を図る取組みの見直しを常に行う必要があるのです。

生産性向上推進体制加算Ⅰ(100単位)

対象:短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービス、施設系サービス

3種のICT機器を全て活用し、委員会での活動を通してシステム導入前後のデータから成果が確認できる場合にひと月あたり100単位が申請可能です。求められる成果とは主に利用者に対する安定したサービスの提供と従業員の負担軽減の2点です。

中には「改定前からデジタル化を進めていて、条件はほぼ満たしているけれどデータを記録していない」というケースもあるでしょう。 この場合、勤怠管理システム等のデータを振り返り、総労働時間(残業時間)が減っていること・有給取得状況が改善またはキープされていることを証明し、職員の心身に影響が及んでないことやケアにあたる時間が削減できていることがわかる調査内容を報告します。加えてシステム導入前から施設を利用している方にヒヤリングを行いケアの質が悪化していない場合に算定が認められます。

かねてよりICT化を推進している事業所は、システムを導入しやすい環境が整備されているだけでなく、職員のICT活用のためのリテラシーが高いことから早期に上位加算を目指しやすいと言えるでしょう。 生産性向上推進体制加算の取得に必要な提出データについては以下の記事をご確認ください。

生産性向上推進体制加算の取得条件や提出データ・申請方法の要点まとめ

人員配置基準の特例的な柔軟化

介護職員と利用者 イメージ

対象:特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護(介護予防特定施設入居者生活介護)

利用者の数に対して介護職員:看護職員の比率が3:1→3:0.9に緩和されます。
3種のICTを全て導入した上で3ヶ月に1回委員会を開催し、安全対策と職員の負担軽減を図る取組を継続的に行い、サービスの質を下げないことと職員の負担が増えないことが条件です。

人員配置基準の特例的な柔軟化は、令和6年度の介護報酬改定で唯一特定施設入居者生活介護だけに認められた措置となります。定員30名に対して職員10名→9名に削減できるということになります。僅かな緩和ではありますがICTの導入で職員の負担が軽減され、1名減ったマスターラインでも安定したサービスが提供できると思えば取り組みがいがありそうです。

「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に 関する基準」等における生産性向上に先進的に取り組む 特定施設等に係る人員配置基準の留意点について

対象となるICT機器、1つ以上の導入でも算定は可能

利用者の健康状態をタブレットに記入する介護職員 イメージ 生産性向上推進体制加算Ⅱ(10単位)

対象:短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービス、施設系サービス

3種のICT機器のうち1つでも使用していれば加算Ⅱ(10単位)の算定が目指せます。データがない場合は過去のデータを遡り、総労働時間や残業時間が短縮していること、有給取得状況に変化がないまたは増加していること、利用者満足度に悪化が見られないことが分かるデータを提出しましょう。

例え対象の機器を一切使用していなくても、新たに導入することで早期に算定できる可能性は十分あります。いずれも委員会を設置し生産性向上ガイドラインに沿って運営を行い、導入前と導入後の効果を示すデータを提出することが要件です。

基本的に加算Ⅱ(10単位)で成果が確認できた後に、加算Ⅰ(100単位)の申請開始が認められます。そのため、あと1つ機器を導入すれば加算Ⅰの申請が開始できる場合においても残りのシステムの運用を3ヶ月以上実施し、成果を示したデータの提出が必要となります。

まずは委員会でICT機器の選定からスタート

ict化に取り組む介護チーム イメージ

加算の対象となっているICT機器は見守り機器・インカム・介護ソフトウェアの3種です。まずは委員会を立ち上げ、ICTに詳しい方を中心に多職種の職員で意見を出し合い、現場の課題解決に貢献する機器を慎重に選定します。この際に厚労省が提供しているICT機器・ソフトウェア導入に関する手引きやメーカーが発信している事例を収集するのがおすすめ。

複数のテクノロジーを利用するにあたっては、補助金を申請するタイミングやシステム同士の相性も非常に重要です。あらかじめ委員会で最終的にどのように成果を出していくのか、どういったツールを基盤に進めていけば良いのか、加算取得に向けたICT導入プランを立ててみてはいかがでしょうか。

例:スマートフォン端末とWi-Fiを活用した加算取得のプラン
  1. クラウド型の介護ソフトを導入し加算Ⅱ(10単位)を申請
    施設内のWi-Fiの整備を行いスマートフォンを導入

  2. 見守り機器+スマホインカムを導入して加算Ⅱ(10単位)を申請
    利用者が居室のベッドから動いた時に見守り機器からスマートフォンに通報 > インカムと機能連携によってイヤフォンを介して耳からアラートを受け取る

  3. 見守り機器+インカム+介護ソフトで加算Ⅰ(100単位)の申請を開始
    最終的に介護ソフトに蓄積されたテキスト情報と見守り機器からの通知を一元的にスマホインカムで受け取るオペレーションを想定

→ 導入前と後でデータを比較し、成果が確認できれば100単位の加算

インカムにはBONX WORKをご検討ください

まごころ介護様 女性職員
まごころ介護様

BONX WORKは情報共有の迅速化に大きく貢献する現場コミュニケーションのワンストップソリューションです。

従来のインカムとは異なり、ヘッドセットや箱型の通信端末を携帯する必要はなく、スマートフォンとイヤフォンだけで長時間快適にコミュニケーションが図れます。また、インターネット/Wi-Fiを使用するため、多階層や外出中も通信距離を気にしなくて良いのも大きな特徴です。

さらに、見守り機器のナースコールや介護ソフトのテキスト情報をイヤフォンを通じて直接耳へ届けることを可能とします。スマートフォンが開けないシーンでも耳からベッドからの情報や利用者のケア記録がリアルタイムに取得できるようになり、安全かつ迅速な対処を実現できます。

既存システムと連携が可能なインカムをお探しの方、スマートフォンを活用したICT化で加算の取得を目指している方はぜひご検討ください。

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