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IP無線アプリとは?機能や特徴、無線機との違いを解説
無線機に代わるツールとしてIP無線アプリも選択肢の一つ。しかし使い慣れた無線機から新たなソリューションツールに乗り換えるには特徴や機能について知り、メリットを感じた上で導入を決断しなくてはなりません。
相手の会話が終わるまで待つ時間を無くしたい・ノイズで声がかき消されうまくコミュニケーションが取れない・他社の無線機と混信してしまう。その他にも多くの課題がありIP無線アプリへの乗り換えを検討している企業が増加しています。
また令和6年12月1日以降のアナログ無線終了の電波法改正もIP無線アプリが注目を浴びるきっかけとなりました。
こちらの記事ではIP無線アプリの機能や特徴、無線機との違いについてご紹介します。
IP無線アプリとは
IP無線アプリはau、ドコモ、ソフトバンクなど携帯キャリアのネットワーク(3G/4G/5G)を利用した距離無制限の音声ツールです。導入にあたって免許の取得や申請はいっさい不要。
お手持ちのスマホにアプリをインストールし専用のデバイスもしくは他社製品のイヤフォンと組み合わせることでスマホ型インカムとなります。
アプリには録音・文字起こし機能やグループチャット・個別チャット・アナリティクス分析・GPSなどデータ機能が搭載されているのもIP無線アプリならではの利点です。
音声とデータによって現場のデジタル化を加速させコミュニケーションを活性化させる効果が期待できます。またスマホとイヤフォンをBluetoothで接続することでワイヤレスでも利用可能です。
IPネットワークについて
IP(Internet Protocol)はインターネット・プロトコルの略でインターネット上におけるデータの処理方法を指します。そしてデータの伝送に利用される通信網をIPネットワークと言います。
IPは複数のデータを交互に伝送できる規格で家庭や企業など全世界規模で公共的に利用されています。これが私たちの生活の中で欠かせないインターネットのことです。
HTTPやFTPなどデータの伝送に使われるTCPも信頼性の高いプロトコルとして知られていますね。その他TCPよりも信頼は薄いが高速通信が可能なUDPも標準的に使われているプロトコルの一種。もちろん携帯電話会社が提供するネットワークもIPネットワークに統合されます。
IP無線アプリの主な機能と特徴
音声をリアルタイムで届けられる
IP無線アプリは携帯会社が提供する通信網(3G,4G,5G、Wi-Fi、LTE)を経由しており、スマホ電話同等に音声のデジタル処理が早いため高品質かつタイムリーにコミュニケーションを図ることができます。
通信規格世代やWi-Fi通信規格に順応するため将来的にさらに高速化する可能性も濃厚です。
グループごとにトークルームを作成できる
指定したメンバーでトークルームを作成しチーム内で複数名による多重同時通話が可能なグループトークソリューションです。
なおトークルームは複数作成できるため、指定した部署間でコミュニケーションを取ることも可能。大勢の従業員を抱える企業や持ち場が分散されている現場におすすめです。
音声データが活用できる
・録音/文字起こし機能
・音声読み上げ機能
・グループチャット/個別チャット
・指定したグループへテキスト 音声メッセージ 画像の一斉送信
・既存システム(CRM・在庫システム・SFAなど)とのデータ連携
無線機に変わる音声ツールとして高いスペックを発揮することはもちろんデータを活用したソフトウェアの機能を利用できます。
音声読み上げはクラウド管理システムなどのテキスト情報をトークルームのチャットスペースに転送するだけでデジタル音声に変換する便利な機能で医療介護などでの活用事例が豊富。
【活用事例】 介護業界におけるICTの活用で事務と現場の音声コミュニケーションを構築 | あきた創生マネジメント様
グループチャットは日記や回覧板のように情報を共有できるチャット機能となっています。重要事項を書き留めておくのにも便利です。
【活用事例】 大規模なチーム運営の中でANAが導入した通信改革ソリューション|ANA(全日本空輸株式会社)様
上述の通り複数のトークルームを作成することができ、ルームを選択してテキストや音声メッセージ、画像を一斉送信できるのもIP無線アプリの特徴。
在庫や顧客管理システムなどの既存システムと連携させ、自動で音声データを入出力できるデータ連携も人手不足を解決するために効果的な音声DXです。
IP無線アプリと無線機の違い
通信距離
IP無線アプリは携帯キャリアが提供するデータ通信を利用するため距離に制限なくコミュニケーションが図れます。Wi-Fiが繋がる環境であれば日本全国から海外まで遠く離れた相手とも連絡を取ることが可能。業務用インカムでありながらスマホのような利便性を持ち合わせています。
従来の無線機は距離に制限があり、長くて最大約10kmまでの通信圏内でしか通信ができません。特定小電力トランシーバーの送信出力は小さく0,01Wで通信距離は200m以下、簡易業務用無線機の送信出力は最大5Wで通信距離は5km〜10kmとなっており、遮蔽物の影響によって通信距離が短くなる場合もあります。
無線機本体の購入費用
IP無線アプリの通信端末はiPhone・Android・iPodであるため、携帯をスタッフに支給している企業では通信機器を新調する必要もなくスムーズに導入することが可能です。
また団体によっては個人のスマホを使用するケースもあり、いずれも端末の費用はかかりません。
通信媒体は若い世代や外国人スタッフも共通して使い馴染みのあるスマートフォンであることから、導入後に機能を使いこなせない・使い慣れるまでに時間がかかるといった心配も少ないでしょう。
一方で業務用無線機は所有とレンタルどちらにせよ一台あたり高額な費用がかかります。所有する場合の本体価格は一台あたり約5万円〜10万円、レンタルの場合は一台あたり1泊2日約3500円〜が相場とされています。
個人から企業まで所有しやすい特定小電力トランシーバーは一台あたり1万円〜2万円ほど。業務用無線機に比べると安価な価格帯ではありますが、コードの断線や故障による修理費や買い替え費用、電池代など長期的に運用するには意外にもコストがかかるのが特徴です。
免許取得・登録申請の有無
IP無線アプリは業務用無線機と異なり免許の取得申請が不要です。
法人や団体が業務用として利用する簡易無線機や業務用無線機、MCA無線機を所有する場合には、免許局または登録局への申請が必要になります。
免許局での申請が必要な無線機に至っては一台ごとに免許の取得が定められており取得にあたって各種申請料(年間の電波利用料/印紙代)が発生するためまとめて導入するにはコストと手間がかかり大変です。
ちなみに免許不要で導入できる無線機は
・特定小電力トランシーバー
・IP無線
・IP無線アプリ
の3種です。
業務用無線機とは?特徴から分かるメリット・デメリットや注意点まとめ通話方式の違い
IP無線アプリは複数名でのグループ通話・同時通話が可能です。LINEのグループ通話のように一斉に話すことができ、会話が重なっても通信が途切れることはありません。
緊急時には会話に割って入ることができるためコミュニケーション量が多い現場や迅速な対応が求められる現場で活躍します。
従来の無線機は1人以上が同時に話すことができないため相手が話し終わってから話し始めるというやりとりが無線従事者のルールとなっています。
会話が重なってしまうと双方の無線機が一時的に利用停止になってしまうペナルティタイムが発生し、その間は他者の会話を聞くことも話すこともできません。
タイムラグが原因で情報を取りこぼしたり行動が遅れたりして業務に支障をきたします。
混信や傍受の危険性
無線機は同一の周波数帯チャネルに設定することで社内の限られたスタッフのみと通信できる仕組みとなっています。
特定小電力トランシーバーで9chまたは11ch、業務用デジタル簡易無線は登録局へ申請が必要なものは30ch、免許局へ申請が必要なものは65chと機種によってチャンネル数に違いがあり機密性の高さも差が生じます。
人混みの中でトランシーバーを利用する際にノイズが走るようでしたら速やかに他のチャネルに設定しなくてはなりません。機器によっては組織に属さない第三者が同一のチャネルに設定するだけで簡単に機密情報が漏洩する恐れもあるためリスクを承知で使用する必要があるのです。
IP無線アプリはIPアドレスが振り分けられており通信を行う端末を指定することができます。また音声はインターネットを通じる際に暗号化されるため混信の心配が少ないのです。
IP無線アプリの注意点
データ通信料がかかる
IP無線アプリは携帯会社のIPネットワークを利用するため毎月データ通信料が発生します。なお通信料は使用頻度によって毎月変動しますのでご注意ください。
インターネット環境下でないと通信できない
山地や洞窟などではインターネットが利用できないのと同様に、IP無線アプリも使うことができません。一方ビルの地下や地下鉄であってもWi-F環境下であれば通信は可能です。
つまりWi-Fi環境が整備されていない地域や自然の中での利用には不向きだと言えます。
IP無線アプリBONX WORKならではの魅力
BONX WORK独自の発話探知機能を搭載
BONX WORKは特許取得の独自機能「発話検知機能」を搭載しています。
発話検知機能とは発話をシステムが自動で検知する機能であり、会話時のみデータ通信を利用する機能のことです。
声に反応するため無線機のようにボタンを押しながら話す必要はなく、ハンズフリーの状態で使用できます。
また会話中以外はバッテリーとデータ通信量を消費しないためバッテリーの消費速度と通話料をともに抑えることが可能です。
ボタンをワンタップするだけでマイクがオンに
1回ボタンを押すことで常時繋がっている状態になります。コミュニケーション量の多い現場やスピード感が求められる現場で幅広く活躍します。再度ボタンを押すことで通信が遮断されますので必要に応じて切り替えてみてはいかがでしょうか。
ソフトウェアとハードウェアの両方を自社開発
BONX WORKはソフトウェアである音声アプリと専用イヤフォンマイクのハードウェアを自社で開発しているグループトークソリューションです。
イヤフォンの互換性に左右されないため他社製品との相性の良し悪しによって音声が聞こえない・機能が一部使えないといった心配がありません。
またサービス体験だけでなくサポートや保障も一貫して受けられるのも利点の一つ。利用中の不明点や不具合をはじめあらゆる課題を解消するパートナーが専任制で担当します。
その他新機種の案内や定期的な使用感のヒアリングなど長く使っていただけるサポートを行っています。
現場にフィットする3種のハードウェア
BONX WORKでは性能・装着感・耐久性・デザインに優れた3つのハードウェアを取り揃えています。スタイリッシュな音声DXを実現する各種ハードウェアの魅力とは。
BONX Grip
雪山という過酷な環境でコミュニケーションを取り合うために開発されたBONX Gripは耐水性、堅牢性に強みを持つハードウェアです。 建設などのタフな現場でもしっかりした固定力がポイント。シリコン製イヤーループで耳を囲ったデザインとなっており、激しく頭を振っても外れる心配はほぼありません。 デュアル式マイクによるノイズキャンセリングで風切り音対策も完備。連続通話時間7時間の長時間バッテリーを搭載しています。
BONX Grip公式ページBONX mini
小型モデルのBONX miniは無駄を省いたシンプルなデザインが特徴。わずか5gの軽量設計となっているため長時間の装着でも耳への負担がかかりません。
アパレルやクリニック、ホテルなど見た目を重視する業界をはじめ、リモートワーカーまで幅広い用途で活躍する製品です。
なお連続通話時間は3〜4時間であるため2台持ちでご利用いただくか休憩時間を使ってこまめに充電する必要があります。
BONX BOOST
BONX BOOSTは最長10時間稼働の長時間バッテリーを搭載した最新モデル。業務時間中にバッテリー切れの心配なく利用できる製品となっています。
上下対称・左右両耳に使えるデザインであるため瞬時の付け替えも可能です。
利用シーンに合ったオプションパーツが取り揃っている点もBONX BOOSTならではの魅力。中でも固定力を高めるイヤーフック、騒音対策に効果的な延長マイクは人気の高いオプションです。
BONX Grip同様ノイズキャンセリング機能を搭載し、長時間のバッテリー持ちでありながら小型軽量に設計されています。
ホテル・宿泊におすすめのハードウェア
医療介護におすすめのハードウェア
建設におすすめのハードウェア
小売におすすめのハードウェア
IP無線アプリで現場をコミュニケーション改革
IP無線アプリはIPネットワークを利用することから距離無制限で通信できる音声ツールです。またスマホがあれば免許不要で誰でも利用できるため導入にかかるコストや手間、精神的負担を低減し、状況を改善する即戦力となります。
しかしそれだけではなく現場のコミュニケーションを活性化させるデータ機能が詰まっていることがご理解いただけましたか。
無線機の通信課題を解決することはもちろん、データ機能にも無線機にはない魅力を感じていただければ幸いです。