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迫る2025年に向けた介護の生産性向上の取り組みを解説
少子高齢化は日本を象徴する深刻な社会問題として扱われ、その対策として介護の生産性向上という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
生産性向上と聞くと、介護に限らず大半の業界で重視される抽象的な表現に聞こえるかもしれません。しかし、介護の生産性向上は今や半強制的に実施すべきとされており、具体的な取り組みの内容から評価体制まで万全の体制が敷かれているところです。介護の生産性向上においては何が求められていて、どのように対処したら良いのでしょうか。
介護の生産性向上とは
生産性とは投資した要素(人材・設備・材料等)の量に対してどれだけ成果や付加価値を生み出すことができたかを計測するための指標と定義されています。
介護の生産性向上とは、厚労省が公開する生産性向上ガイドラインに基づき「介護の価値を高めること」と定義されており、「人材育成」「チームケアの質の向上」「情報共有の効率化」の3つを活動の目的として掲げています。
生産性向上を実現するには人の手だけでは限界があり、人の業務を支援するICT等のテクノロジー活用が欠かせません。生産性向上の取り組みをきっかけに介護のICT導入が業界全体に浸透していくことが予測されます。
超高齢社会を迎え介護需要に対して供給量が不足
介護業界は現在、職員の必要数に対して高齢者の割合が急増しており、将来的に安定した介護サービスの供給が難しくなることが懸念されています。
2025年には団塊の世代が75歳以上を迎え、国内人口の5分の1を占める超高齢社会が訪れます。厚労省の統計によると都道府県で算出した介護職員の必要数は2025年で約240万人、2040年には272万人と推定されており、介護業界・各事業所で人材確保が急がれる状況です。
2025年、2040年に向けて職員の処遇を改善しても年々少子化の影響で介護者の人口そのものが減少しているため、大きな効果は見込めません。そこで厚労省は供給力を強化する意向を固め、実現には生産性の向上が欠かせないとして、各事業所ごとに取り組みを開始するように推し進めています。
第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について介護の生産性向上に取り組むメリット
厚労省は令和6年度の介護報酬改定(介護保険制度改定)にて、生産性向上によって「職員の負担軽減」「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保」を推進すると示しています。この2つを達成することで得られるメリットを次の2つにまとめました。
令和6年度介護報酬改定の主な事項について人材の確保・定着
時間も心の余裕もなく、コミュニケーションが不足していると人間関係で些細な不満が募り、結果として離職してしまう恐れがあります。生産性向上の調査によって、データと声からストレスの要因を顕在化できれば、それに対して適切な改善活動が行えるようになります。
また生産性が向上すれば、その分教育に費やす時間が増えるというのも大きなメリットです。取り組みを通じて教育体制を充実させ、発信することで激しい人材獲得競争の中で優位に立てる可能性もあります。
利用者のQOL向上
本質的な価値は安定したサービスを提供することですが、生産性向上に取り組む最大の目標は利用者の生活の質と人生の質を高めることです。取り組みによって職員が働きやすくなり、心理的健康やモチベーションが安定した状態で業務を遂行することで利用者への安全で安定したサービスの提供ひいてはQOL向上に直結すると考えられます。
厚労省が重要視する生産性向上の3つのテーマ
厚労省が生産性向上の目的として掲げているテーマは次の3つです。3つの取り組みに対してどのような対策が推奨されているのかご紹介します。
- 人材育成
- チームケアの質の向上
- 情報共有の効率化
人材育成
現場の3M(ムリ・ムダ・ムラ)を解消し、削減された時間を人材育成にあてるなどして教育体制の強化を図ります。また、人材育成計画を作成し目標を明確にしておくことで、効率的なキャリアアップに繋がり、適切な評価がしやすくなります。
また、必要なスキルを身につけ離職を防止するために、OJTやプリセプター制度を導入する事業が増加しています。
チームケアの質の向上
ケアに関わる専門性の高い業務を直接ケア、清掃やベッドメイクなど専門性が低い業務を間接業務に分け、それぞれが専門分野で能力を最大限に発揮できるよう役割を明確にします。医師、看護師、リハビリスタッフ、栄養士、理学療法士、作業療法士、社会福祉士など多業種との連携を強化することもチームケアの質向上に欠かせません。
情報共有の効率化
日頃のコミュニケーションの中でも特に利用者の安全に関わる情報共有は迅速でなければいけません。例えば、バイタルサインや健康状態の変化、危険予知にいかに早く気づいて対処できるかが大きな課題です。
近年では見守りシステム、ナースコール、インカムアプリを連携し、情報をリアルタイムに耳へ通知する技術が介護の業界で注目を集めています。またこれらのシステムを全てiPhoneに一本化し、生産性を高める取り組みも注目されています。
生産性向上の取組は「生産性向上委員会」での実施が義務化
厚労省は生産性向上に係る取り組みを実施する場として2024年 介護報酬改定(介護保険制度改定)にて委員会の設置を2024年から導入し、2027年より本格化することを決定しました。一部のサービスを除き、ほぼ全ての介護事業所が原則として生産性向上に取り組まなくてはなりません。
介護の生産性向上委員会とは何か、目的・設置方法・活動内容を解説委員会での活動は、厚労省が公表するガイドラインに基づき、PDCAサイクルに沿って継続的に行われます。活動の実態を証明するために必要なものは取組前後の効果を比較するデータです。実施前のデータを記録していない場合、過去に遡って作成することは難しいので事前に必要なフォーマットを収集し、委員会を設置してから生産性向上を本格的に進めましょう。
介護の生産性向上ガイドラインに基づく委員会運営のポイントを解説ICT機器の活用で最大100単位の加算が取得可能
委員会を設置する意義は単に義務化されたからではありません。厚労省は生産性向上に取り組む事業所を評価するための新加算を設け、条件をクリアすることでひと月あたり最大100単位の申請が可能となりました。前提条件として以下3種のICT機器を1つ以上導入することが挙げられます。
- 見守り機器
- インカム等
- 介護記録ソフトウェアやスマートフォン等
なお、上記3種のICT機器を全て導入すれば上位区分の加算(100単位)が申請できます。既存システムが1つでも該当する場合、委員会にて次に導入するシステムの優先度や連携方法について検討してはいかがでしょうか。
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その場から離れずにコミュニケーションが取り合えるため、移動時間を大幅に短縮でき間接業務時間の削減や心理負担の軽減に役立ちます。また、ナースコールや見守り機器と連携して通知を直接耳に伝達し、ビジネスチャットと連携してテキストを音声に変換することが可能です。
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