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ホテル業界に求められるDXと導入の効果を解説
新型コロナウィルスの影響で大打撃を受けたホテル業界。パンデミック前のホテルの建設ラッシュによりホテル業界の競争は激化すると予想されており、今後も宿泊施設では人手不足が続くと言われています。
こうした課題の解決に向けてホテル業界ではDX推進の動きが活発化しています。そこで今回はホテル業界でDXが必要とされている理由や具体的なDXの取り組み、そして実際のDX導入事例についてご紹介します。
ホテル業界で求められるDXとは
まずはホテル業界になぜDXの導入が必要なのか、詳しく解説していきます。「そもそもDXってどういう意味?」という方にはこちらの記事がおすすめです。
既存ツールを使いこなすことがDXの前提条件
上記の記事にて説明がありますが、DXは「デジタル技術を用いたビジネスモデルレベルの変革」であり一朝一夕で実現するものではありません。
アナログ中心のオペレーションで回っているホテル宿泊施設ではそもそもデータの基盤がなく新規ツールに活用するために必要なデータが蓄積されていないことが考えられます。
既存システムが活用できていない状態で真新しいDXツールを導入するのではなく、まずは既存データの整理(加工しやすいデータフォーマットへの変更や他のデータと紐づけるための整備)が前提条件なのです。
ホテルにおける代表的なツールとしてクラウド型の情報管理システムなどが挙げられますが、顧客データが紙媒体にファイリングされていた場合、何千何万ものデータを一気に移行することは不可能ということになります。
まずはデータの受け皿にデータを移行する準備を整えることがDX成功までの合理的なプロセスであり、オペレーションを見直す第一歩となるのです。
急速な変化を求めない/段階的なオペレーション改革
既存システムのデータが整備され新規ツールへの移行が完了したからといってDXが成功したとは言えません。DXを導入し新たなオペレーションを構築していくための施策段階では、導入によるコスト削減の効果や人件費削減の効果は期待できないでしょう。
根気強く使い続けることによってデータが蓄積され機能が徐々に理解でき、データ分析に活用することができるのです。最初のうちは従業員全員が同じ速度で成長できるとも限りませんし分析・実装の結果、必ずしも業務効率化できるとは限らないのが現実。
常に失敗しては改善点を見つけ、違うやり方を試して効果を測定してみるといったPDCAサイクルを回していくことが大事。DXの導入によって戦術を確立し、業務効率化を実現するためには一定の時間をかけて機能を使いこなし全体で当たり前のツールにしていく必要があるのです。
ホテル業に求められるDXと人の手の融合による接客サービス
ホテル業界は宿泊客・観光客の減少に伴い今後さらに激化する市場競争に打ち勝たなくてはなりません。これを実現するためにホテル業界はDXを導入し、既存のサービスではなく、新たなサービス・体験を提供し、競合との差別化を図ることも必要になってきます。
しかし上述の通りただ宿泊DXを促進すればいいというわけではありません。顧客によっては無機質で冷たい印象を受ける場合もあるからです。
例えば老舗旅館なら真心のこもったおもてなしや日本の風情溢れる雰囲気に癒されたくて訪れる宿泊客が大多数を占めています。これはニーズに対してサービスがミスマッチしている代表的な例です。
反対にビジネスホテルやカプセルホテルでは無人化の促進や非接触システムに需要があると言えるでしょう。ホテル・宿泊業界ではただDXを促進すれば良いというわけでなく顧客が求めるデジタル化が問われているのです。
DXの導入によって従業員の負担が軽減された分、より細やかな気遣いやサービスを提供することでおもてなしとDX、両方のメリットを感じられるのではないかと考えます。
ホテル業界におけるDXの効果
ホテル業界の人手不足解消
COVID-19の影響を受け、ホテル・宿泊業界は厳しい経営危機に陥りました。やむを得ず休業に踏み切った施設もあれば、一時休業という形でコロナ禍を乗り切ったホテルも存在します。
コロナ禍の行動制限が緩和され回復の兆しが見えてきたホテル事業ではありますが、この3年で被った経済的ダメージは現在に至るまで尾を引いている状態です。
不要な人件費をカットし利益を上げていくためには出勤の従業員数を減らしたりやむを得ず非正規雇用の従業員を解雇したりといった判断が求められます。またホテル業界の行き先に不安を感じる・従業員のリストラによってモチベーションが下がり他業種に鞍替えする人が増えたことも人手不足の原因だとされています。
DXとはAI・loT等を用いて業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出に役立てることです。ホテル業界においてはフロント業務やブッキング業務の自動入力化、清掃にかかる時間をオペレーション改革で短縮するなどして少人数の勤務体制で運営することが可能になるでしょう。
慣例化しているアナログ業務をデジタル化することで無駄な労力をかけずに業務を高速化できる効果が期待できます。また新たにアルバイトを雇う余力がないため社員に業務負担が増加している現状も問題視されていますが、デジタルツールの導入によってアルバイトの業務スピードと正確性が向上し書類のチェック業務や人材育成に伴う労力が削減できます。
結果的に少ない人員でも業務を回していけるようになり残った社員の業務負担を軽減できるのです。
本来人が行っていた業務をデジタル化することで人員の負担を削減するのがDXの醍醐味ではありますが、上述の通りDXを使った戦術の確立や業務フローの改革には時間を要することを念頭に置いておくべきです。
接客の品質を向上させる
DXを導入することでこれまで人が行っていた業務が簡略化され時間に余裕が生まれます。ブッキング業務、部屋の割り当て、海外からやってくるお客様の予約表のコピー、個人情報の入力、キャッシャーの誤差確認などホテルは事務作業が多いのが特徴。
チェックイン/アウトの時間で忙しいという時に、事務作業が長引いてしまいフロントに瞬時に入れないとお客様を待たせてしまうだけでなくチームの空気感も悪くなってしまいます。
・会計と売上を一括管理できるPOSレジ
・クラウド顧客管理サービス
・パスポートの連続自動読み取り機
・ポイントカード・予約表の自動発行機
・AIによる自動部屋割り
などのDXツールをバックオフィスへ導入することで業務が高速化し顧客を待たせる確率が減少するでしょう。また従業員のミスが減ることで社員間のトラブルが減り、チーム全員がアットホームに連携を取り合える雰囲気づくりができます。
少ない人員で多忙を極めるホテル業界においてはスタッフの心の余裕も接客品質に大きく関連してきます。1人あたり1日にこなせる業務量が増えることで結果的に人件費削減に繋がるのです。
ホテル業界におけるDXの取り組み
ホテル業界にDXが必要な理由について紹介したところで、ここからはホテル業界で具体的にどういったDXの取り組みが行われているのかについて解説します。
感染リスクを抑えた非接触型システムによるDX
ホテル業界では非接触型システムによるDXも検討されています。例えば接触のリスクを減らすためスマホや専用の機械を使って非接触でもチェックイン・チェックアウトができるような取り組みもその一つです。またドアノブに触らずに、スマホのアプリを使って部屋の鍵を開ける仕組みなど、ホテル業界では衛生面でのDXの導入もなされています。
コロナの影響でインバウンドは激減、国内旅行者の数も以前よりは減少したとはいえ、未だ多くの人が観光・旅行に訪れています。特に自粛ムードが強い現状では、ホテル業界は水際対策を一層強化していかなければならないでしょう。
最先端ロボットを駆使したホテル業務:変なホテル
国内外に現在20施設を構える「変なホテル」では、フロントでの受付を始めとするホテル業務を、館内の”ロボット”が代わりに行ってくれます。まさに最先端技術とホテルを掛け合わせたDXだと言えますよね。
フロントでは他言語対応のロボットがチェックイン・アウトの手続きを行ったり、クロークではロボットアームが荷物を預かってくれたりと、今までの常識では考えられないほど未知のサービス・体験が提供されています。激化するホテル業界の競争に打ち勝つため革新的なサービス・体験を提供し、差別化を図ろうとするホテルが増えています。
利用者に新たな体験をしてもらうために、この変なホテルのようなDXの取り組みをするのも一つの手ですね。
ホテル業界の人手不足を解消するBONX WORK
BONX WORKというサービスがホテル業をはじめ様々な業界で活用されています。BONX WORKとはBluetoothイヤフォンと専用のアプリを使用し、離れた場所同士での情報共有を可能にするサービスのことです。
このBONX WORKを導入することで、ホテル内のどこにスタッフがいるかが把握でき、効率的に情報共有でき業務の効率化を図ることが可能になります。これにより少人数でも業務が回るようになるため、ホテル業界の人手不足の解消に効果があるとされています。少子高齢化などといった根本的な問題の解決にはまだまだ時間がかかるホテル業界。
その反面、導入するだけで宿泊施設の人手不足の問題をすぐに解決してくれることは、このDXの大きな特徴だと言えますね。
ホテル業界での実際のDX導入事例
ここまでホテル業界がDX推進すべき理由と具体的な取り組みについて解説しました。最後に実際に宿泊施設でどのようにDXを活用しているのか、ここでは先述のBONXの導入事例を3つご紹介します。
導入事例①:ホテル椿野
ホテル椿野では主に料理の提供やチェックイン・アウトのときにこのBONX WORKを活用しているそうです。BONX WORK導入前はお客様が到着してから館内に案内するまで何号室のどのお客様がきたかどうかわからなかったとのこと。
お客様一人一人、当日の宿泊プランが異なるのでお客様の情報を把握しておくことで、その後の接客の対応も大きく変わってきますよね。しかしBONX WORK導入後は駐車場やドライバーとの情報共有が可能となり、どのお客様を今から館内にお連れするのか前もって把握できるようになり、業務がしやすくなったと言います。
また内線ではスタッフの正確な位置がわからず、スタッフを見つけるのに無駄な時間がかかり業務の効率が落ちていましたが、BONX WORKを導入することでそういった無駄な時間を省き、空いた時間をお客様との時間に使い、更なる接客サービスの向上に繋がったと話しています。
導入事例②:Bed & Art Hotel 高円寺
Bed & Art Hotel 高円寺とは「泊まれるアート」をコンセプトに旅行客とアーティストが交流できる場を提供するアートホテルのことです。
その特性上、一階のフロアでアートの展示をすることが多く、館内の至る所にあるアートを展示場に移動させるとき、このBONX WORKを活用してフロア間でスタッフ同士でのやり取りをしているそうです。また部屋の準備ができているかどうかなどの普段の業務でもBONX WORKを使って連携をとっています。
またトランシーバーやインカムと比べ導入コストがほとんどかからない点も、BONX WORKの魅力の一つだと語っています。コストが低いとすぐに導入に移せて嬉しいですよね。
導入事例③:浦安ブライトンホテル東京ベイ
浦安ブライトンホテルは東京ディズニーリゾート(R)・パートナーホテルです。以前使っていたトランシーバーは地下と高層で電波が不安定になり、満足のいくコミュニケーションが図れなかったといいます。
BONX WORKの導入によって距離無制限の通話が実現し、現在はスタッフ全員が音声を通してリアルタイムの情報共有が可能に。
また新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるホテル業の人員不足をDXで改善し、時代に合わせたサービスへと移行していく方策に取り組んでいるとのことです。
接客とDXを組み合わせ、ミレニアル世代・Z世代にとって上質な空間とサービスを提供しています。
まとめ
いかがでしたか?ホテル業界でDXが必要とされている理由や具体的なDXの取り組み、そして実際のDX導入事例についてご紹介しました。
コロナ対策・人手不足・革新的なサービス・体験などの実現のために、ホテル業界にはDXの導入が必要不可欠でしたね。
コロナ終了後も競争が激化すると言われているホテル業界。今後この競争をDXでどう乗り切っていくのか注目です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
BONX WORKについて
弊社では「BONX WORK」というサービスを提供しています。離れた場所でもBONX純正イヤフォンと専用のアプリ、インターネット環境があれば離れた場所でもハンズフリーでやり取りが可能になります。
この機会にぜひ一度「BONX WORK」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
詳しい機能や料金プランなどはBONX WORK公式HPにてご確認ください。