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建設現場の施工管理DXを実現する:SafieとBONX WORKが切り拓く、生産性向上と働き方改革の最前線

深刻な労働力不足と「2024年問題」。建設業界は今、大きな変革の岐路に立たされています。限られたリソースでいかに生産性を高め、魅力ある職場を築くか。この喫緊の課題に対し、クラウドカメラ「Safie(セーフィー)」とコミュニケーションプラットフォーム「BONX WORK(ボンクス・ワーク)」が、それぞれの強みを活かし、連携することで新たな道筋を示そうとしています。「Safie」を開発・提供するセーフィー株式会社の岩崎稜平氏とBONX WORKを開発・提供する株式会社BONXの喜多村祐馬氏が、現場の課題解決と未来像を語り合いました。
① 建設業界が直面する「待ったなし」の課題:労働力不足と労働時間制限が生む生産性向上の壁
建設業界が長年抱える労働力不足は、働き方改革関連法の施行により、さらに深刻な問題となっています。工事の需要は依然として高いものの、一人ひとりの労働時間が制約される中で、従来通りのやり方では立ち行かなくなりつつあります。

岩崎 - まさに、労働力が足りない上に一人当たりの労働時間も短縮され、結果として一人当たりの生産性を劇的に向上させる必要に迫られています。これが建設業界の最も大きな課題だと感じています。
喜多村 - 岩崎さんのおっしゃる通りですね。生産性向上のためには、コミュニケーションのあり方も見直す必要があります。従来の電話中心のやり取りから脱却し、より効率的な情報伝達手段への移行をゼネコン各社も強く意識している印象です。

経験の浅い若手社員や、時には建設業界未経験者が現場管理を担うケースも増えており、従来のOJTだけでは十分なスキル移転やフォローアップが難しいという声もよく聞きますね。
② 映像と音声で現場を革新:SafieとBONX WORKが提供する具体的な課題解決アプローチ
このような建設業界の課題に対し、SafieとBONX WORKはそれぞれ独自のソリューションを提供し、現場の生産性向上と働き方改革に貢献しています。
Safie:遠隔からの「目」となり、移動時間を削減。映像によるコミュニケーションで現場フォローと人材育成を加速

セーフィーのクラウドカメラ「Safie」は、現場の「目」として遠隔からの状況把握を可能にし、移動時間の削減に大きく貢献します。
岩崎 - Safieを使えば、いつでもどこでも現場の状況をリアルタイムに確認でき、移動時間を大幅に削減できます。これは労働時間の短縮に直結しますし、経験豊富な技術者が複数の現場を効率的に管理することも可能になります。
さらに、ウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket(セーフィー ポケット)」シリーズの通話機能を組み合わせることで、現場の若手や経験の浅い作業員への遠隔指導やフォローアップが格段に容易になります。
岩崎 - 「Safie Pocket」シリーズ で現場の映像を共有しながら遠隔指導をすることで、作業を止めずに質の高い教育を実現できます。これは、労働力不足の中で即戦力を育成する上で非常に有効だと考えています。
BONX WORK:ハンズフリー・リアルタイムコミュニケーションで現場の「耳と口」を強化し、業務効率化と「ものづくりの楽しさ」を創出

一方、BONXが提供するコミュニケーションプラットフォーム「BONX WORK」は現場の「耳と口」として、ハンズフリーかつリアルタイムなコミュニケーションを実現します。
喜多村 - BONX WORKの強みは、グループトークによるリアルタイムな情報共有です。特に騒音の激しい建設現場でも、NTTソノリティ社の技術を活用したデバイスにより、クリアな音声コミュニケーションが可能です。これにより、聞き逃しや指示の誤解を防ぎ、安全かつ効率的な作業進行をサポートできます。
コミュニケーションの活性化は、単なる効率化に留まらず、チームの一体感醸成や「ものづくりの楽しさ」の再認識にも繋がると岩崎氏は説明します。
岩崎 - 以前訪れた現場で、BONX WORKを通じて元請けも協力会社もフラットに会話し、一体となって「ものづくり」を楽しんでいる様子を目の当たりにしました。これは、若手社員の定着やモチベーション向上にも繋がる重要な要素だと感じます。
喜多村 - そういった効果も期待できますよね。加えて、熟練者の会話を若手が“盗み聞き”することで、OJTでは得られない実践的な知識やノウハウを学べるという教育効果も報告されています。文字起こし機能を活用すれば、優れた指示の出し方などを後から振り返ることも可能です。
③ 各サービスが持つ独自の強みと、ユーザーが直面する課題への対応
SafieとBONX WORKは、それぞれ際立った特徴を持っていますが、単独ではカバーしきれない領域も存在します。
Safieの強み:何よりも「簡単」であること。そして「オールインワン」と「常時録画・クラウド保管」の信頼性

Safieが多くの現場で支持される最大の理由は、その圧倒的な「使いやすさ」です。
岩崎 - Safieは、カメラの電源を入れるだけ、ビューアーにログインしてカメラを選ぶだけで映像が見られるというシンプルさが特徴です。録画映像の振り返りもカレンダーやタイムラインで直感的に行え、ITツールに不慣れな方でも簡単に使い始められます。ユーザーにとって、優しいプロダクトを提供することが、我々のコンセプトでもあります。
喜多村 - 私もSafieを実際に使わせていただいていますが、本当に直感的で分かりやすい。建設業界の方々は現場業務でお忙しく新しいツールの操作を習得する時間がなかなか取れない傾向がありますが、Safieのシンプルさは現場に刺さる大きな魅力だと感じます。映像も非常に綺麗でリアルタイム性が高いですよね。
岩崎 - ありがとうございます。高画質でありながらリアルタイム性を保ち、電波の悪い場所でも画質調整で対応できる点や、SIM内蔵のオールインワンモデルの手軽さも、現場での使い勝手を高めているポイントです。
SafieがBONX WORKとのセット利用でより強化されるポイント:コミュニケーション面。特に騒音下や特定相手への指示など
一方で、Safieの通話機能は映像伝送が主目的のため、コミュニケーション専用機と比較するといくつか課題もあります。
岩崎 - 「Safie Pocket」シリーズにも通話機能はありますが、風切り音などの騒音下では会話が困難になる場合があります。また、あくまで映像記録が主な機能のため、カメラ側(現場側)から遠隔側(特定の個人)への音声連絡や、テキストベースのコミュニケーションには不向きな面もあります。そこがBONX WORKと補完し合える部分ですね。
BONX WORKの強み:どんな環境でも「ハンズフリー」で「常時接続」。確実な情報伝達をサポート

BONX WORKの最大の強みは、「ハンズフリーで、インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも誰とでも会話できる常時接続性」です。
喜多村 - アプリの操作も直感的で分かりやすく、デバイスのデザインや音質にも徹底的にこだわっています。特にマイク型デバイスBONX Stickによる騒音下でのクリアな音声は、他社にはない大きなアドバンテージだと自負しています。
BONX WORKがSafieとのセット利用でより強化されるポイント:映像に関する機能の不在。記録や詳細確認には別のツールが必要
BONX WORKは音声コミュニケーションに特化しているため、映像に関する機能は多くありません。
喜多村 - BONX WORKはあくまで音声コミュニケーションツールであり、高画質な映像の記録や長時間の録画には対応していません。そこがSafieと補完し合える部分ですね。
④ Safie × BONX WORK:相互補完関係が織りなす、建設現場DXの理想形。セット利用で生まれる新たな価値
それぞれの強みと弱みを理解した上で、SafieとBONX WORKを併用して利用する「セット利用」は、建設現場の課題解決において非常に有効な手段となります。

岩崎 - まさに、Safieの映像で現場状況を正確に把握し、その情報を元にBONX WORKで的確な指示を出す。これが理想的な併用の形です。Safie単体では難しかった騒音下でのクリアな会話や、特定の相手への確実な指示伝達は、BONX WORKによって補完されます。文字起こし機能により、「指示」「教育」した事項がテキスト化され、映像を見つける/探すきっかけになるのも嬉しい機能です。
喜多村 - 岩崎さんとよく「お互いを補完し合う関係性」と話しています。映像はSafie、音声はBONX WORKという明確な役割分担により、ユーザーはそれぞれのメリットを最大限に享受できます。Safieで状況を確認した後、指示伝達という「ラストワンマイル」をBONX WORKが担うイメージです。
【事例①】西松建設:遠隔からのリアルタイム指示と重機カメラで「止めない施工」を実現し、生産性を最大化
この「セット利用」の有効性を実証しているのが、西松建設の岩切現場の事例です。Safieのカメラを重機に設置し、遠隔地の職員がその映像を見ながら、現場の作業員にBONX WORKでリアルタイムに指示を出しました。
岩崎 - 西松建設さんの事例では、元請け職員の移動時間削減だけでなく、協力会社の作業員が疑問点をすぐに解消でき、作業の手を止めることなく工事を進められた点が大きな成果でした。重機にカメラを取り付けたことで、施工状況を自動的かつ的確に捉え続けられるようになり、Safieの運用負荷軽減にも繋がりました。
喜多村 - あの現場では、BONX WORKが元請けと協力会社を繋ぐことで、より一体感のあるチームとして現場を進められるようになったと聞いています。担当者の方からは「もうSafieとBONX WORKがないと困る」というお言葉もいただきました。
【事例②】安全パトロール:映像と音声記録の連携で、指摘から報告までのプロセスを劇的に効率化
SafieとBONX WORKの連携によって、安全パトロールのあり方も変革します。
岩崎 -ウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2 Plus(セーフィー ポケットツー プラス)」で現場の状況を映像で記録し、同時にBONX WORKで指摘内容を音声で記録・文字起こしすることで、パトロール後の事務作業を大幅に削減できます。これは月次の安全パトロールだけでなく、日々の現場巡回にも応用できると考えています。
喜多村 - 「誰が、いつ、どこで、何を指摘したか」が映像とテキストで明確に残るため、正確な情報共有と迅速な改善指示が可能になります。これは非常に画期的な使い方だと思います。
セット利用のポイント整理:現場の「見る・聞く・話す」をトータルでサポートし、業務全体の質を向上
これまでの話を総合すると、SafieとBONX WORKのセット利用は、[1]遠隔管理とリアルタイム指示の実現、[2]騒音下でも確実なコミュニケーション、[3]記録と報告の効率化、という大きな価値を現場にもたらします。
⑤ 互いの進化に期待:コミュニケーション機能の深化と、AI検知と連動したリアルタイム通知の実現へ

我々は、互いのサービスにさらなる進化を期待しています。
岩崎 - Safieとしては、BONX WORKのコミュニケーション機能のさらなる深化はもちろん、SafieのAIが検知した異常などをBONX WORKを通じて直接作業員の耳に通知できるようになることを期待しています。メールやアプリのプッシュ通知では見逃しがちなアラートも、耳に直接届けば確実性が増し、より迅速な危険回避行動を促せるようになると思うんですよね。
喜多村 - それは非常に魅力的ですね。我々も、将来的にはSafie Pocket2 Plusのようなウェアラブルカメラ上でBONX WORKのコミュニケーション機能がシームレスに利用できるようになることを目指したいです。NTTソノリティを含めた3社で、騒音下でもよりクリアな音声通話が可能な一体型デバイスを開発できれば、現場の負担をさらに軽減できると期待しています。
⑥ 未来への布石:BONX TriggerとAI連携が拓く、「日報自動作成」と「インタラクティブ教育ツール」への進化

今後の展望として、我々はBONX Stickに搭載される「BONX Trigger」機能の活用や、AI技術との連携深化によって、日報作成業務の劇的な効率化や、全く新しい形の教育ツールの創出といった、さらなる価値提供を見据えています。(※実証実験段階のため、サービスの提供時期は未定です)
喜多村 - BONX Triggerを押して話すだけで、作業内容や気づきが音声とテキストで記録され、Safieの該当映像のURLと紐づいた簡易的な帳票が自動作成されるような仕組みを構築したいですね。これにより、現場から事務所に戻って行っていた日報作成業務の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
岩崎 - その機能は素晴らしいですね。若手技術者が現場で学んだことをメモ代わりに記録し、後で振り返ったり、他のメンバーと共有したりする教育ツールとしても活用できるのではないでしょうか。写真や映像と自動で紐づけば、より効果的な学習が可能になります。建設業界だけでなく、維持管理業務や小売・飲食・製造業界など他業種への展開も視野に入れています。
⑦ まとめ:まずは「セット利用」の体験から。ユーザーの声と共に進化し、建設業界のDXを牽引するインフラへ
SafieとBONX WORKの併用は、まだ始まったばかりですが、その可能性は計り知れません。
岩崎 - 建設業界の皆さんは、今既に課題に直面し苦労されていると思います。SafieとBONX WORKのセット利用は今すぐ始められるものなので、まずはセット利用で少しでも業務改善して欲しいです!騒音下での検査や、文字起こしを活用した映像検索など、多くの課題を解決できると確信しています。ユーザーを増やし、現場の声を丁寧にヒアリングしながら、本当に必要とされるシステム連携をスピード感を持って開発していきたいですね。
喜多村 - お客様の意見をしっかり吸い取って開発に繋げることが我々の役割です。電話が当たり前になり、チャットが当たり前になったように、次は音声グループコミュニケーションが現場のインフラになる時代が来ると信じています。セーフィーと共に、建設業界の当たり前を変革していきたいです。
持ち物を一つでも減らしたい現場のニーズに応えるため、将来的にはハードウェアの統合も視野に入れつつ、まずはソフトウェア連携から着実に成果を積み重ねていく。SafieとBONX WORKの挑戦は、建設業界の生産性向上と働き方改革を加速させ、そこで働く人々に「ものづくりの楽しさ」を再認識させる、大きな可能性を秘めています。